財産管理の為の継続委任状

< 免責事項 Disclaimer >

この「財産管理の為の継続委任状」は、CLEO (Community Legal Education Ontario / Éducation Juridique Communautaire Ontario) が2016年5月に発行した冊子「Continuing Power of Attorney for Property」の日本語版です。 翻訳の正確性に関しては、CLEOの許可を得ているJapanese Social Services (JSS) が全責任を担い、CLEOの関与するところではありません。

This is a translation of “Continuing Power of Attorney for Property,” dated May, 2016, produced in English by CLEO (Community Legal Education Ontario/ Éducation juridique communautaire Ontario).  Japanese Social Services (JSS) is wholly responsible for the accuracy of this translation, produced with permission of CLEO.

 

はじめに:オンタリオ州には3種類の委任状(Power of Attorney)があります。

  • 財産管理の為の一般委任状(General Power of Attorney for Property)
  • 財産管理の為の継続委任状(Continuing Power of Attorney for Property)
  • 身の回りの世話の為の委任状(Power of Attorney for Personal Care)

この刊行物は「財産管理の為の継続委任状(Continuing Power of Attorney for Property)」についてです。

身の回りの世話の為の委任状(Power of Attorney for Personal Care)については別の冊子にて説明されています。英語版注文の方法は最後のページを参照してください。日本語版については、Japanese Social Servicesへお問い合わせください。

 

What is a Power of Attorney? (委任状とは何ですか?)

委任状(Power of Attorney)とは誰かほかの人に、あなたに代わって決定を下す権限を与える法的文書です。この人物はあなたの「代理人(attorney)」と呼ばれます。カナダでは、アメリカ合衆国と異なり、“attorney”と言う言葉は、通常は弁護士を意味しません。

あなたは、自分の財政管理を手伝ってもらいたい場合や、将来財政管理ができなくなることが心配な場合に、誰かに財産管理の為の決定代行権を与えることができます。あなたは又、財産管理の為の決定代行権を期間限定で与えることもできます。例えば、あなたがしばらくの間国外にいる予定であれば、あなたが不在の間だけ、誰かに財産管理をしてもらった方がいいかも知れません。「財産」とは、あなたのお金、持ち家、そしてあなたの所有する一切のものを含みます。

 

What powers will my attorney for property have?(私の財産管理の為の代理人には、どのような権限がありますか?)

あなたが、あなたの代理人の権限を制限しない限りは、あなたが自分で財産の管理をする時のように、代理人はあなたの財産に関して、ほとんど何でもできます。しかしながら、あなたの代理人はあなたの遺言状を作成したり、変更したり、あなたに代わって新しい委任状を与えることはできません。

あなたの代理人はあなたに代わって、銀行取引、小切手(cheques)にサインすること、不動産の売買、消費者向け商品の購入などの、金融取引をすることができます。

財産管理の為の委任状はあなたの代理人に、あなたの身の回りの世話に関する意思決定をさせるものではありません。例えば、あなたの代理人はあなたがどこに住むか、又は、あなたが受ける医療を決めることはできまん。いざという時に、このような意思決定をする人を任命するには、その人物に「身の回りの世話の為の委任状」を与えなければなりません。

 

What is a General Power of Attorney for Property?(財産管理の為の「一般(General」委任状とは何ですか?)

「財産管理の為の一般委任状」とは、あなたに意思能力(mental capability)がある間のみに、あなたの代理人に財政と財産の管理をまかせる法的文書です。もしあなたが財産管理をするだけの意思決定能力がなくなった場合には、財産管理の為の一般委任状は効力が終了し、あなたの代理人の任務は終了します。この種の委任状は、通常、ビジネスや短期間の一時的な理由で使用されます。この法律が1996年に改正になって以降は、財産管理の為の委任状を作成したい大部分の人は、代わりに「財産管理の為の継続委任状」を作成しています。

 

What is a Continuing Power of Attorney for Property?(財産管理の為の「継続(Continuing)」委任状とは何ですか?)

財産管理の為の継続委任状とは、あなたが財産管理をする意思決定能力がなくなった場合に、あなたの代理人に引き続きあなたに代わって、決定代理権を行使させるものです。この目的の為に有効である為には、文書は継続委任状と呼ばれるか、あなたの意思能力がなくなっても、あなたの代理人に引き続きあなたの代行を行使する権限を与えるという文言を述べなければなりません。

 

I made a Power of Attorney for my property before the law changed.  Do I need a new Power of Attorney?(私は財産管理の為の委任状を法律が改正になる前に作成しました。新しい委任状を作成する必要がありますか?)

その必要は無いかもしれません。法律が改正になった1996年3月29日以前に、有効な委任状を作成したのであれば、多分現在も有効なはずです。

しかしながら、必要になった時に、あなたの代理人がまだ代理人をする気があり、あなたのために代理で意思決定が可能かどうかを、代理人に確認して下さい。又、あなたが財産管理をする意思能力が無くなった場合に、あなたの代理人が継続して決定代理権を行使できることが、文書に述べられているかどうかを確認して下さい。

  

When does a Continuing Power of Attorney for Property take effect?(財産管理の為の継続委任状は、いつ効力を生じますか?)

あなたが後日効力を生じることを希望すると文書に明記しない限りは、あなたが立会人の前で署名次第、効力を生じます。例えば、あなたが将来自分の財産管理をすることが意思能力的に不可能になった場合にのみ、効力が生じることを望むなら、あなたの弁護士にこの点を明確にするようお手伝いしてもらって下さい。

委任状の書類は、後日、意思能力が失われた時にのみ使用する為に、多くの場合安全な場所に保管されます。

 

Can anyone give a Continuing Power of Attorney for Property?(誰でも財産管理の為の継続決定代理権を与えることができますか?)

あなたが18歳以上で、そうすることが意思決定能力的に可能であれば、有効な財産管理の為の継続決定代理権を与えることができます。

この場合の意思決定能力(mental capacity)とは、下記の要件を満たしていなければなりません。

  • あなたがどのような財産を所有し、そのおおよその価値を把握している。
  • あなたに経済的に依存している人への責任を認識している。
  • あなたが代理人にどのような権限を与えているのか理解している。
  • あなたの代理人があなたの財産管理に関する意思決定に関する説明責任を負っていることを理解している。
  • あなたが知的判断ができる間は、この委任状を取消し(revoke)できることを知っている。
  • あなたの代理人があなたの財産管理をうまくできなければ、資産価値が下がるかもしれないということを理解している。
  • あなたの代理人がこの権限を悪用する可能性が常にあることも理解している。

 備考:たとえ、あなたが財産管理の意思能力が無くても、継続決定代理権を与えることは可能であるかも知れません。例えば、あなたの毎月の年金小切手の金額を覚えていないかも知れませんが、それを受け取っていることは知っていて、あなたの娘さんに管理してもらいたいと思っている場合です。

 

Can I appoint anyone as my attorney?(誰でも私の代理人として任命できますか?)

18歳以上であれば誰でも任命できます。

誰を選ぶかは慎重に考えることが大切です。この人物は信頼がおけて、お金の取り扱いが得意であるか?あなたの代理人になる意志があるか?代理人の職務に金銭的な報酬を期待しているか?これらのことや他の質問に対する答えや他の質問が、代理人を選ぶにあたり役立つかも知れません。

あなたの代理人について最終的な決定をする前に、あなたの弁護士に相談することが得策です。

 

Can I appoint more than one attorney?(複数の代理人を任命できますか?)

はい。しかし、あなたが複数の代理人を任命した場合には、彼らが別々に意思決定ができることをあなたが文書に記述しない限りは、あなたに代わって意思決定をする前に、あなたの全ての代理人の意見が一致する必要があります。二人以上の代理人が意思決定に同意する必要がある場合には、「合同で(jointly)」行動するといわれます。代理人が一緒にあるいは別々に意思決定ができるとあなたが言明した場合には「合同でも別々でも(jointly and severally)」行動するといわれます。

例:あなたが事故に遭い、こん睡状態(coma)になったとします。あなた

は今、請求書の支払いをしたり、家賃を支払うだけの意思能力がありません。

あなたの財産管理の為の継続委任状には、あなたの財産に関する全ての意思決定をする代理人として、あなたの二人の友人、ポールとスーザンが任命されています。しかし、ポールは現在不在で連絡が取れません。もし、あなたの委任状にポールとスーザンが「合同で」意思決定をしなければならないと書かれているならば、スーザンは単独行動を取ることはできません。

しかし、あなたの委任状が二人が「合同でも別々でも」意思決定ができると書いてあるならば、スーザンはあなたの為にすぐさま行動できます。たとえ、ポールとスーザンが二人とも応じられる時でさえ、一方又は他方がまだ単独に行動できます。あるいは、二人がその状況を話し合って、あなたに代わって、一緒に意思決定をすることもできます。

もし、あなたがどうしても複数の代理人を望むなら、あなたの代理人が合同で行動すべきか否かを慎重に考慮して下さい。委任状の中で、あなたの決定を明確にして下さい。

 

What if my attorney cannot or will not act for me when the time comes?(その時になって、私の代理人が私の代わりに意思決定ができなかったり、代理人をする気がなくなった場合にはどうなりますか?)

あなたが財産管理の為の継続委任状を作成する時に、「代替代理人(substitute attorney)」を任命することができます。この人物は最初の代理人(複数の代理人の場合もある)が任務を希望しなかったり、できない状態になった時に、あなたの為に行動することが可能です。代替代理人は最初に任命した代理人と同等の権限を持ちます。

あなたは複数の代替代理人を任命することもできます。

 

Will my attorney get paid?(私の代理人は有給ですか?)

あなたが財産管理の為の継続委任状に、特に別の指定をしていない限りは、あなたの代理人は報酬を得る権利があります。あなたの代理人が受取れる支払いについては、弁護士に相談して下さい。

あなたが自分で金額を設定したかったり、代理人に全く報酬を受取って欲しくない場合には、文書にそのことを明記して下さい。

 

Where can I get a form for the Continuing Power of Attorney for Property?(どこで財産管理の為の継続委任状の書式を入手できますか?)

あなたの弁護士と一緒に書面を作成できます。又は、公的後見人・管財人事務所(the Office of the Public Guardian and Trustee)発行の書式を使用できます。申込みは416-314-2800又は通話料無料番号1-800-366-0335に電話して下さい。ウエブサイトで書式をダウンロードすることもできます。www.attorneygeneral.jus.gov.on.ca

あなたが公的後見人・管財人事務所で支給された書式を使用するか、又は他の書式を使用するにしても、代理人を任命する前に、弁護士に相談するのが得策です。

 

Do I need witnesses when I sign the form?(私が書式に署名する時に、立会人が必要ですか?)

はい。法的に二人の立会人が必要です。あなたが署名をする時には二人とも同席しなければなりませんし、立会人も署名をしなければなりません。次の人々は立会人にはなれません。

(×)あなたの配偶者、パートナー*、子ども、又は子どもと見なしている人

(×)あなたの代理人、その代理人の配偶者又はパートナー

(×)18歳以下の人

(×)財産管理をする意思能力がない為に、裁判所によって任命された「財産後見人(Guardian of Property)」のいる人

(×)自分自身の身の回りの世話に関する意思能力がない為に、裁判所によって任命された「人身後見人(Guardian of the Person)」のいる人

財産管理の為の継続委任状について以下のどれかが当てはまる場合には、その人物はあなたの「配偶者」です。

•      あなたが結婚している相手

•      あなたが最低一年間一緒に住んでいる内縁関係の人

•      あなたが書面による同棲契約を交わしている人

•      自分の子どもの親に当たる人

最低一年間同棲しており、双方にとって最も重要な親しい関係にあるならば、その人はあなたの「パートナー」です。

「配偶者」と「パートナー」は他の法律分野では異なる意味を持つことがあります。

 

Can I cancel my Power of Attorney after I have signed it?(署名をした後で、私の委任状を取消すことができますか?)

はい。あなたが財産管理の為の継続委任状を作成する意思決定能力がある限りは、それを取消し(又は撤回)できます。そうする為には、文書で委任状を撤回したことを言明して下さい。二人の人があなたがこの文書に署名する時に立ち会わなければなりません。両者とも、あなたが署名する時に同席しなければなりません。委任状の立会人になるのを許可されない人々は、この撤回書の立会人になることも許可されません。「revocation(撤回)」と呼ばれるこの声明書には特別な書式はありません。

委任状を見た人や、委任状の写しまたは原本を持っている人には、この撤回声明書を渡すのが得策です。可能であれば、委任状の原本を送り返してもらい、それを破棄して下さい。

もしあなたが委任状を撤回した場合には、あなたの銀行の支店長や年金制度担当者など、あなたの収入や財産に携わっている全ての人に通知して下さい。撤回声明のコピーをあげて下さい。

あなたが家やその他の不動産を所有している場合には、弁護士に不動産の所有権に撤回声明を登録してもらって下さい。この手続きは、その不動産を買うつもりの人や抵当に取っている人に対して、財産管理の為の継続委任状が撤回されたことを通知するものです。

備考:あなたが新たに財産管理の為の継続委任状を作成すると、新しい委任状にそうするなと書いていない限りは、既存の委任状は全て自動的に取消されます。もし、あなたがそのような事態を望まない場合には、新しい文書における用語の選び方について、弁護士に相談して下さい。

 

When does my Continuing Power of Attorney for Property end?(私の財産管理の為の継続委任状は、いつ終了しますか?)

あなたが死亡した時、又は以下の状況において終了します。

  • 、あなたの代理人が死亡、意思能力の喪失、辞任した場合において、あなたが複数の代理人の任命や代替代理人(substitute attorney)の任命していない場合
  • 裁判所があなたの人身後見人(Guardian of the Person)を任命した場合
  • あなたが新しい「財産管理の為の継続委任状」に署名した場合で、その新しい委任状内に委任状は複数あるという文言がない場合
  • あなたがまだ意思能力があるうちに委任状を撤回(revoke)した場合

  

What if I do not have a Continuing Power of Attorney for Property?(もし私が財産管理の為の継続委任状を持っていない場合にはどうなりますか?)

あなたが財産管理の為の継続委任状を作成していなくて、意思能力の喪失により、あなたの財産管理ができなくなった場合には、以下の事が起こり得る可能性があります。

  • あなたの年金や社会的手当てのような、あなたの財産の一部は友人や親族により、非公式に管理される可能性があります。
  • 正式にあなたの財産を管理する為に、誰かが裁判所に「財産管理後見人(Guardian of Property)」に任命されるよう申し立てる可能性があります。
  • 公的後見人・管財人事務所(Office of the Public Guardian and Trustee)があなたの財産管理をするよう任命される可能性があります。これは「法定後見制度(statutory guardianship)」と呼ばれます。この場合には、近親者が公的後見人・管財人に、あなたの正式な財産管理を引き受けることを申請することができます。

財産管理の為の継続委任状を作成することは、いざという時に、あなたの財産と利益を守る為に、あなたが自分の信頼した人を選ぶのを可能にするものです。

 

Getting legal help(法的助けを得る)

財産管理の為の継続委任状について、法的助言や支援を得る為には、下記の場所を参照に弁護士に連絡して下さい。

  • Community legal clinics(地域の法律相談所)

一部の 地域の法律相談所(Community Legal Clinic)では、財産管理の為の継続委任状について、無料で法的助言ができることがあります。

最寄の地域の法律相談所を見つけるには次の方法があります:

ウェブサイト : www.legalaid.on.ca/en/cantact

フリーダイヤル : 1-800-668-8258

フリーダイヤル(聴覚障がい者用) : 1-866-641-8867

トロント市内局番(聴覚障がい者用) : 416-598-8867

 

  • Law Society Referral Service(弁護士紹介サービス)

弁護士会による紹介サービスでは、あなたのお住まいの地域で、最大30分まで無料で相談に乗ってくれる弁護士の名前をオンラインで提供しています。

もしあなたが拘留されている、シェルターにいる、或いはインターネットにアクセスできないような遠隔地にいるなどの理由でオンラインサービスが利用できない場合は、クライシスライン(crisis line)に電話してください。クライシスラインは月曜から金曜の午前9時から午後5時までご利用いただけます。

ウェブサイト : www.lawsocietyrefferalservice.ca

クライシスライン : 1-855-947-5255

トロントクライシスライン : 416-947-5255

 

  • JusticeNet(ジャスティスネット)

JusticeNetは、法的扶助の資格の得ない人が、法的支援を見つける手助けをする非営利のサービスです。

JusticeNetは経済的な理由がある人に対して、割引料金でお手伝いできる弁護士の名簿を備えています。

ウェブサイト : www.justicenet.ca

フリーダイヤル : 1-866-919-3219

トロント市内局番 : 416-479-0552

Email:info@justicenet.ca

 

For more information, contact(お問合せは)

この刊行物には一般的な情報が含まれています。これは、あなたの特定な状況についての法的助言を得る為の代わりになるものではありません。

Written by(著者):

Advocacy Centre for the Elderly (ACE) and CLEO (Community Legal Education Ontario / Éducation juridique communautaire Ontario)

Edited and produced by(校正・発行者):

CLEO

With funding from資金提供者:

Legal Aid Ontario and the Department of Justice Canada

CLEOは他の法律部門の刊行物も発行しています。ほとんどのものは無料です。法律改正に伴い、刊行物を逐次改定しています。「廃棄表(Discard List)」を見れば、どの刊行物が有効期限が切れて、廃棄すべきかがわかります。

最新の注文用紙、又は「廃棄表」に関してはウエブサイトwww.cleo.on.caを訪問するか、416-408-4420に電話して下さい。

Translated by(翻訳者):

Japanese Social Services

6 Garamond Court, Toronto, Ontario   M3C 1Z5

Tel: 416-385-9200   Fax: 416-385-7124 (お問合せは日本語でどうぞ)

Email: info@jss.ca

Website: www.jss.ca

原文: https://www.cleo.on.ca/sites/default/files/book_pdfs/continuing.pdf

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