今月(2018年4月30日) から始まる家主と借主に関するオンタリオ州の標準賃貸契約書(Standard lease)について

以下の情報は、Community Legal Education Ontario (CLEO)より許可を得て、「Standard lease for Ontario landlords and tenants coming this month、今月(2018年4月30日)から始まる家主と借主に関するオンタリオ州の標準賃貸契約書(Standard lease)について」(2018年4月発行)を翻訳・掲載しています。翻訳の質に関しては、Japanese Social Services が責任を担っており、CLEO の関与するところではありません。

 

2018年4月30日付けで、オンタリオ州のほとんどの住宅の大家とテナントは、行政が施行する新しい標準賃貸契約書を使用することになります。
今月のOn the Radarではこの契約書を使用する際の規則について紹介します。

誰が使用しなければいけないのか               

大家と)の多くは今回の標準賃貸契約書を使用することになりますが、下記のケースには適応されません。

  • 事業目的で借りている場所
  • 公営住宅(public housing)やsubsidized housing (政府が賃貸補助金を支給する住宅)
  • 移動型住宅(Mobile home)や借地契約住宅(Land lease homes
  • 住宅協同組合(Housing co-ops
  • 又貸し(Subletting
  • 老人ホーム(Retirement homes)のようなケアホーム

2018年4月30日以降、大家とテナントはこの標準賃貸契約書を使用し、賃貸契約を結ぶことが義務付けられます。標準賃貸契約用紙は住宅省(The Ministry of Housing)のウェブサイトにあります。印刷してから記入できるものと、コンピューター上で入力してから印刷できるものがあります。

テナントと大家は、入居日よりも前にこの賃貸契約書に署名をしなければなりません。そして大家は、テナントが署名をして手渡した日から21日以内にテナントに契約書のコピーを渡すことが義務付けられています。

記入用紙に変更はできるのか?

大家とテナントは、契約書の空欄とチェックボックスに記入をすることしかできません。標準賃貸契約用紙の内容を変更したり、線を引いて消したりすることはできません。項目を加えることは可能ですが、法律や賃貸契約用紙内の記載に反しない場合に限ります。追加項目については下記詳細をご覧ください。

大家が標準賃貸契約書を使用しない場合

テナントが標準賃貸契約書なしで物件を借りている場合、大家にあてた文書で標準賃貸契約書に署名するように要求できます。
テナントが初めてこの書面による要求を行う場合、法律で一定の権利が認められています。

家賃の支払い保留
テナントが書面で問い合わせをしたあと、大家が標準賃貸契約書に署名し、それをテナントに渡すための期間として21日間が家主に与えられます。大家がこれを行わなかった場合、テナントは最大1か月間家賃の支払いを保留することができます。支払いを保留できる家賃は、上記期限である21日間以降にくる支払日となる家賃のみです。
この家賃の支払い期限から30日以内に大家が標準賃貸契約書に署名し、契約書をテナントに渡した場合、テナントは家賃を支払わなければなりません。家主が30日以内に契約書への署名を行わなかった場合は、テナントはこの家賃を支払わなくてもかまいません。

予定より早く退去する
標準賃貸契約について大家に初めて書面で問い合わせをする際に、テナントに与えられる権利がもう一つあります。
契約当初、一定期間の賃貸(例えば1年など)に同意した場合でも、テナントはその期間の満期まで住む必要はありません。60日前に通知をすることで月極賃貸契約と同じように出ていくことが可能です。
テナントがこの退去通知を出す前に、大家には書面での要求への返答期間として、21日間が与えられています。
大家が返答し、標準賃貸契約書を手渡した場合、テナントはそれに署名をせずに60日前退去通知を出すという選択肢もあります。大家から賃貸契約書を受け取ってから30日以内にこの退去通知を出さなければいけません。
テナントが退去したくない場合、標準賃貸契約書にサインをするか、もしくはそのまま何もしないことも可能です。何もしない場合は、元々大家と交わしていた同意に基づいて滞在するという意味です。

追加項目を確認する

テナントは「追加項目」の欄を注意深く読み、自分が何に同意しているのかを理解する必要があります。追加項目は、標準賃貸契約書に付け加えられた別紙に記載されています。
追加項目の数に関しての制限はありません。大家によっては何枚にもわたる追加項目を付け加えることもあり得ます。テナントもまた項目の提案が可能ですが、大家が追加に同意しなければなりません。
追加項目はわかりやすい言葉で記載され、誰が何をできる、またはできない、しなければいけないかが明確に説明されていなければなりません。
追加項目が一般項目の記載に反する場合は無効です。
項目が法に反する場合もまた無効です。例として以下の場合があります。テナントは、

  • ペットを飼うことはできない
  • ルームメイトやゲストを呼べない
  • 修理代を支払わなければならない

追加項目が無効の場合、たとえ双方が契約書に署名したとしても、大家とテナントはお互いにその項目を遵守させることができないということを意味しています。
しかしながら、追加項目が有効かどうかは、家主借主委員会(Landlord and Tenant Board)による決定がなされるまではっきりしない場合もあります。
テナントがどうしたらいいかわからない場合は、 地域法律相談所(community legal clinic)に連絡するか、弁護士に相談するのがよいでしょう。

この記事は一般法的情報をお知らせするもので、特定の状況についての法的アドバイスを得ることに替わるものではありません。

原文: https://mailchi.mp/cleo/on-the-radar-new-standard-lease-for-landlords-and-tenants