寒い季節を安全に過ごすためのエクササイズとストレッチ

ザック・チャン 理学療法士
1年で最も寒い時期は過ぎたとはいえ、まだまだ寒い日が続きます。寒さが厳しくなると筋肉がこわばり、気圧の低下とともに関節炎の症状も悪化します。さらに地面の凍結や降雪による転倒事故が増える季節でもあります。
今回は筋肉を鍛え、身体のバランスを改善し、怪我を防いで冬を安全に乗り切るための5つのエクササイズとストレッチ、またそれらを正しく行うポイントをご紹介します。
ストレッチの基本はゆっくり続けて行うこと。
急に元の位置に戻そうとしたり、急いで筋肉を伸ばすのは禁物です。ストレッチを行う際は基本的に体が温まっている方が効果的ですので、特に、運動をした後、もしくは熱いシャワーを浴びた後などが最も効果的です。

1. 片足立ち
効果:片足でバランスをとるこの運動は、転倒防止および身体意識の向上に効果があるとされています。足首の捻挫防止にも有効な運動です。
やり方:まず肩幅の広さに足を開き、片方の足をゆっくりと上げて足を完全に地面から離します。不安な場合は壁の近くに立つか、椅子に指を一本置いて身体を支えます。
最低20秒この姿勢をキープし、反対の足も同じように行います。難度を上げたい場合は、枕やタオルを足の下に置いてバランスをとり、目を閉じてやってみて下さい。これを毎日5回繰り返します。
2. ヒップブリッジ
効果:ヒップブリッジは身体の背面、特に身体の前面に比べて弱い臀部(でんぶ)や脚の筋肉に効果があります。臀部の筋肉を鍛えることで身体のバランスが良くなり、膝への負担が軽減されるとともに、骨盤に重心を置くことができるようになります。
やり方:まず仰向けに寝て、足の裏を地面につけた状態で膝を曲げます。ゆっくり踵(かかと)に力をかけながらお尻を上げていき、お尻と背中が完全に地面から離れるようにします。ゆっくりお尻を下げていき、地面すれすれまで降ろしてから、またゆっくりと上げていきます。
これを15回繰り返します。難度を上げたい場合は、片足を完全に地面からあげ、全体重がもう片方の足に乗るようにします。このエクササイズを毎日2回繰り返します。
3. 踏み台昇降
効果:踏み台昇降は下半身の筋肉全体に効果があり、座った状態から立ち上がる、階段を降りる、深い雪の中を歩くといった動きをする時に役立ちます。
やり方:肩幅の広さに足を広げ、低い踏み台か階段の前に立ちます。右足をゆっくり上げ、台に乗せます。
右足の踵(かかと)を踏みしめながら右膝を伸ばし、左足を持ち上げて右足にそろえ、台の上に立ちます。片足ずつ台を降ります(順番を気にする必要はありません)。これを片足ずつ10回繰り返します。
不安定な場合は壁に手をつくか、手すりを握って下さい。難度を上げたい場合は、両手に重りを持つか、段差を高くして下さい。これを毎日2回繰り返します。
4. ふくらはぎのストレッチ
効果:ヒールがあるタイプの冬用ブーツはつま先が低くなるため、ふくらはぎの筋肉に負担をかけます。また気温の低下に伴い、こむら返りや痙攣(けいれん)を起こしやすくなる場所でもあります。
やり方:壁に手をついて張りを感じる方の足を大きく前に出します。つま先を壁に、踵(かかと)は地面につけて、足を斜めにします。ゆっくり前に上体を曲げ、お尻を壁の方に近づけると負荷があがります。最低30秒その姿勢を保ち、足を交換して繰り返します。1日3−4回行うと効果的です。
5. 上僧帽筋(そうぼうきん)のストレッチ
効果:この筋肉は冬にとりわけ張りを感じやすい部分です。冬は首回りが寒いので、常に肩をすくめていることが原因です。
やり方:椅子に座り、片方の手をお尻の下に入れましょう。その手と反対側の耳を肩にゆっくり近づけて

いきます。頭を引っ張るようにすると強くストレッチすることができます。そのままの姿勢を30秒キープし、ゆっくり最初の位置に身体を戻して反対側を行います。1日4−5回行って下さい。
執筆者
 

ザック・チャン 理学療法士
ザック・チャンは公認理学療法士と現代鍼灸師の資格を持っています。フィットネスと筋力トレーニングに加え、スポーツによる怪我の治療、手術前後のリハビリテーション、小児理学療法、脳しんとうのリハビリテーションを専門にしています。ダウンタウンのCloud Careクリニックで診療を行う他、個人でホームケアもやっています。旅行が趣味で、広島に1年住んだことがあり、日本語が流暢です。
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