CLEOのよくある質問1:家庭内暴力と国外通報の関係(移民法)

*This is a translation of “Common Questions: My husband has abused me and threatens to have me deported if I report him to the police. Does he have the power to do that?,” published in May 2013, produced in English by CLEO (Community Legal Education Ontario). Japanese Social Services is wholly responsible for the accuracy of this translation, produced with permission of CLEO.
*以下の情報は、Community Legal Education Ontario (CLEO)より許可を得て、「Common Questions: My husband has abused me and threatens to have me deported if I report him to the police. Does he have the power to do that?」(2013年5月発行)を翻訳・掲載しています。翻訳の質に関しては、Japanese Social Servicesが責任を担っており、CLEOの関与するところではありません。
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質問:
夫に虐待を受けているのですが、もし、そのことを警察に通報した場合、夫は私を国外追放すると言います。夫にその権限はあるのでしょうか?

答え:
いいえ、ありません。あなたの配偶者又はパートナーは、その虐待的行動を通報された場合、あなたをカナダから追放すると脅したり、あなたのスポンサーとし て追放する権利があると言うかもしれません。彼にその権利はありません。国外追放の決定を下すのは連邦政府の移民局です。

また一方で、配偶 者、あるいは同棲している(コモンロー)パートナーのスポンサーシップについての新しいルールがあります。ほとんどのケースの場合、もしあなたが虐待の被 害によりその関係を絶ったからといって、あなたの永住権は剥奪されることも、カナダから国外追放されることもありません。しかし、もしあなたのパートナー が、移民局にあなたとの関係が本物で無く、不正であると通報した場合、移民局はその捜査をする可能性があり、その結果により、あなたの永住権は剥奪される ことがあるかもしれません。

新しい移民のルールでは、一部のスポンサーされた配偶者またはパートナーの人々に対し、条件付 (conditional)永住権を付与しています。条件付永住権を受けるには、スポンサーシップの登録時にあなたとあなたの配偶者、またはパートナーと の間に子どもがいないこと、また、あなた達の関係が2年以内である事です。この場合、スポンサーされる配偶者として到着して最初の2年間はあなたの永住権 は条件付となり、この間はスポンサーと同居することになります。この場合の永住権は実際には永久ではなく、もしあなたがこの2年以内に別居した場合、永住 権を失ったり、カナダに滞在できなくなる可能性があります。

しかし、もしあなたの別居の理由が、あなたのスポンサーもしくはその家族による あなたへの虐待やネグレクトである場合、このルールに対する例外を求めることができます。あなたは虐待が起きたこと、そしてそれが結果的に関係破綻に繋 がったということを明らかにしなければなりません。虐待やネグレクトは、あなた自身、あなたの子ども、または同居している家族に対してかもしれません。そ の状況については、法律のアドバイスを受けたほうがいいでしょう。弁護士を雇うために十分な収入がない方は、下のリンク先(英語)を参照してください。

“I need legal help, but have limited in income and can’t afford a lawyer. What do I do?” (Common Questions, CLEO)
http://yourlegalrights.on.ca/common-question/what-are-my-options-if-i-cant-afford-lawyer

もしあなたがパートナーから離れようと思っていたり、またはすでに別居していて、なおかつあなたに永住権が無い場合、法律相談が必要となります。この「永住 権が無い」対象に含まれるのは、条件付永住権を持っていること、もしくはあなたのパートナーが、あなたとの関係が本物ではないと移民局へ通報すると脅した 場合です。あなたは「人道的・同情的(humanitarian & compassionate, H&C)」理由により、永住権申請ができる可能性があります。最近になって、H&Cによる永住権申請ができる人の基準が変更されました。 もしあなたが難民申請を却下された場合、却下から1年間はH&C申請ができません。ただし、あなたの子どもの最善の利益があなたのカナダからの追 放により影響を受ける場合、またはあなたの祖国の医療ケア不足によるあなたの生命の危険が懸念される場合は、この1年ルールの例外となります。

これはとても複雑になりうるので、弁護士に相談することをすすめます。家庭内暴力による緊急時には、被害者は女性専用シェルター(women’s shelter)、またはコミュニティー・リーガル・クリニック(community legal clinic、公的法律相談所)を通じて、移民法弁護士による2時間の無料相談をリクエストすることができます。詳しい情報は以下のリンク先(英語)で確 認してください。

“Services by topic – Abuse and Family Violence” (CLEO)
http://yourlegalrights.on.ca/find-services/service-topic/abuse-and-family-violence

たとえあなたが警察に助けを求めたとしても、警察は移民局にあなたのステータスについて、たずねるかもしれません。警察のコンピューターシステムには、あな たの名前で入国管理に関する令状(immigration warrant)が出ているかどうか見ることができます。この令状は、もしあなたが移民局の審査聴聞会(hearing)や予約を欠席した場合に発行され ます。

仮に、パートナーが迫害を受ける恐れがあるという理由によりあなたも難民申請をした場合、パートナーとの別居ににより難民申請を受理 されるのが難しくなるかもしれません。これについては、あなたの弁護士から法律相談を受けることをお勧めします。難民申請に関するルールが最近変更された ため、相談を受けることは大変重要です。別居に際し、難民申請のままでいるのか、それとも人道的・同情的(H&C – Humanitarian and Compassionate)理由による永住権申請をするのか、決断をしなくてはなりません。これらを2つ同時に申請することはできません。もし、あなた の難民審査(refugee hearing)がすでに始まっている場合、難民申請の届出を撤回することができない可能性があります。その場合、H&C 理由による永住権申請は不可能となります。新しいルールはとても複雑なので、あなたがどの方法で申し込みをするのがあなたの状況にとって最善なのか、それ を決めるためには法律相談が不可欠です。

もし移民局があなたにカナダからの国外退去命令を出した場合、あなたは難民申請ができなくなりま す。しかし、あなたは「強制送還前のリスク評価」(PRRA: pre-removal risk assessment)に申し込むことができるかもしれません。PRRAは、あなたが自国に送り返された際に直面しうる危険について評価します。

パートナーとの別居により、あなたの移民ステータスがどのように影響を受けるのかはとても複雑な問題であり、この資料で説明できる範囲外です。難民に関する法律の詳しい情報については、CLEOによる、オンタリオ州における難民の権利のリンクをご覧ください:www.refugee.cleo.on.ca

**この記事の内容は一般法律情報であり、個々の状況についての法律相談に替わるものではありません。