ひとくち 日本語教育情報

 中尾良子 (元トロント日本語学校校長)Japanese School - Yoshiko Nakao
新学期を9月に控え、日本語学校選びを考えていらっしゃる保護者の方も多数いらっしゃるのではないかと思う。 この度JSSさんから私が長く日本語教育に関わってきたということで原稿の依頼を受けたが、今日は、この地での生活がまだ浅い方にお役に立つかと思いトロント周辺の日本語教育の現状と情報を簡単にご紹介したいと思う。
オンタリオ州の日本語教育を段階別に分けるとオンタリオの学校教育に属する①「高等教育」(大学など)、②「中等教育」(全日制高校の正規科目としての日本語、そして高校単位講座、G9-G12)がある。
学校教育以外の学校としては、①「初等教育」の継承語学校、継承語+外国語として日本語(JFL, Japanese as a Foreign Language)併設の語学校、それに保育園、幼稚園などがある。また、②成人、高校生対象の生涯教育として、大学などのcontinuing educationなどと民間の語学校や企業や公的機関の語学教育がある。
詳しくはカナダ日本語教育振興会(CAJLE)の継続&J-GAP http://www.cajle.info/programs/j-gap/japanese-programs-in-ontario-2/ 参照)
ここでは、紙面の都合上、学校教育以外の初等教育に焦点を当てることにする。
Japanese 1トロント周辺の学校には継承語の学校として1970年代―1980代に発足した代表的な語学校が数校あり、現在もそれぞれの特色を持ったカリキュラムで、日本の教科書を用い一貫した語学教育が行われているようだ。 一方、継承語部門と共にJFLを中心的に併設している学校もある。 いずれもこれらの学校は原則として最年少は4歳から、上は8年生(G8)まで受け付けている。 その他にも最近は日本語学習者の急速な増加で、そのニーズに応えるべくトロント近郊にも新設の学校が発足している。
以前、語学校発足当時は生徒の両親が日本語話者であり、家庭で日本語を使い、継承語学校として問題は少なかったが、最近は国際結婚の児童の増加と、日本文化(特にアニメなど)に興味を持つ日本のバックグランドを持たない家庭の学習者も増え、学校側はその受け入れの対処に頭を悩まされているのではないだろうか。 従来のエスカレータ式に上がっていくクラスだけでは収まりきれない状態が発生してくるのではないか。 私が従事していた学校について言えば、生徒は必ずしも4歳児から入学するとは限らず、小学校の中、高学年になってからの非継承語学習者の入学希望も少なからずあり、クラス編成では大変な苦労があるが、日本語教育機関として門戸を開いている。 このような生徒の多様化に対応していくのは容易ではないが、JFLとしてのクラスを年齢、日本語能力等を基に段階別にクラス編成し、カリキュラムに於いてもニーズに応えるよう努力している。 このような問題を持っていない学校は大変幸運であろうが、これからは他の機関も益々、学習者の多様化は避けられない。 このような状況の中で、学校側はどう対処していったらいいのか、これからの大きな課題である。 学習者の多様化に伴って、対応できるカリキュラムや教材の充実、そして、教師の指導力・技能等の向上と教師の育成などが求められることになる。 学校運営という別の問題も関わってき、変革は一朝一夕に成されるのは難しいが、多くの学習者が時代に沿った、よりよい日本語教育を受けられよう、各日本語教育機関の今後に大きく期待している。
さて、保護者側の立場から、差しあたって学校選びであるが、どんなことを考慮に入れたらいいのだろうか。勿論日本語を厳しく教え、早く日本語を上達させたいと思うのは誰しも同じ親心であるが、登録前に以下のことを考慮に入れて学校の選択をされてはどうか。Japanese 2

  • 学校のカリキュラムや特色を調べ、子供の日本語能力や生活環境も併せて、学習を継続できるかどうかを問う。親の決意も大切。
  • 児童の他の課外活動(extra-curricular activities)習い事等も考慮
  • 保護者が家庭でどのくらい学習をみてあげられるか。 特に宿題など。

新学期に向かい、保護者の方々が適切な選択をされるよう願っている。
日本語教育事情については、詳しくはJapan Foundation のウェブサイトをご覧下さい。
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2014/canada.html