ドメスティックバイオレンスや性的暴力が理由で引っ越しを余儀なくされたテナント(借家人)は28日前通知を出せるようになりました。

* 以下の情報は、Community Legal Education Ontario (CLEO)より許可を得て、「ドメスティックバイオレンスや性的暴力が理由で引っ越しを余儀なくされたテナント(借家人)は28日前通知を出せるようになりました。」(2016年11月発行)を翻訳・掲載しています。翻訳の質に関しては、Japanese Social Services が責任を担っており、CLEO の関与するところではありません。
CLEO_On the Rader

ドメスティックバイオレンスや性的暴力または虐待が理由で引っ越す必要があるテナントは大家に28日前通知を出せるようになりました。
今月のオンザレーダーではいつ、どうやってテナントがこの新しい選択を利用できるか、概要をまとめました。

誰が新しい28日前通知を利用できるのか
住宅賃貸法-(the Residential Tenancies Act)に関する最近の変更は、通常は賃貸借期間やリース期間の終わりに引っ越しをするためには60日前通知を出さねばならないテナントに適用される。
これらのテナントはもしも、自身や一緒に住む子どもが「暴力や別の形での虐待」を受けている場合に新しくなったフォームN15  (Form N15)を使用し、いつでも28日前通知を出すことができる。
と同時に、テナントは以下のどちらかを使用し大家に置かれた状況を伝える義務がある。

  • ランドロード・アンド・テナント・ボード (The Landlord and Tenant Board、大家とテナント間の賃貸に係るトラブルを解決する裁判所のような機関) のフォーム「ドメスティックバイオレンスないし性的暴力、虐待に関する入居者声明文(Tenant’s Statement About Domestic or Sexual Violence and Abuse)」
  • ピースボンド(peace bond)や接近禁止令(restraining order)といった裁判所命令 (court order) の複写

テナントの声明文
テナントの声明文は、大家にテナントもしくは一緒に暮らす子どもがその賃貸物件に住み続けることで危害を加えられたり怪我をする危険性があるという旨を大家に伝えるものである。この法律には2種類の危険性(リスク)が盛り込まれている。
一つ目のリスクタイプはテナント又はその子どもが

  • 危害を受けた、もしくは所有物が損傷を受けたため
  • 意思に反して拘束されているため
  • 身の安全に不安を感じているため

このリスクは以下の人物によるものとする

  • テナントの配偶者もしくは元配偶者
  • テナントが結婚しているような関係で同居しているもしくは同居していた人物
  • テナントが交際しているもしくは以前交際していた人物
  • その賃貸物件に住むテナントもしくはその子供と係りのある人物

二つ目のリスクタイプはテナントもしくはその子供が何者かにより性的暴力の被害者になったため
これは精神的暴力や虐待、セクシャルハラスメント、ストーキング行為、のぞき見行為、そして性的搾取を含む。また脅迫や未遂も含む。
テナント声明文は大家にどの状況が当てはまり、誰が虐待者であり、また被害者が入居者であるか、その子供であるかどうかを伝えるものではない。
そして、テナントは大家に自身の状況に関する他のいかなる情報も伝える必要はない。

裁判所命令
テナント声明文の代わりに、テナントは大家に上述の人物に対するピースボンドや接近禁止令のコピーを渡すことも可能である。
しかし、この類の命令を得るのには時間がかかることがあり、これらの命令にはテナントが大家に知られたくない情報を含むことがある。

テナントプライバシーの保護
大家とそのスタッフはテナントが渡した、いかなる書類も完全に機密にしておく義務を負う。誰に対しても漏らしてはいけない。その賃貸物件の他のテナントにも漏らしてはいけない。
そして、テナントが引っ越すまで、大家は賃貸物件もしくはテナントが特定されるような賃貸の広告を出していはいけない。
テナントのプライバシーを保護するには、ウェブサイトを訪れてフォームをダウンロードしたり、引っ越しに関する情報を探す。

28日通知の方法
テナント声明もしくは裁判所命令に加えて、テナントは大家にフォームN15-ドメスティックバイオレンス、虐待の恐怖による賃貸契約終了の入居者通知を提出する義務がある。
フォームN15の手順に関する情報があるので、テナントは記入前に注意深く目を通すこと。

同居する他のテナント
賃貸物件に他のテナントが居住している場合、テナントは起こっていることを、その何名かあるいは全員に伝えることを選ぶかもしれない。
しかし、テナントは用心すべきであり、信頼できる人物にのみ伝えるべきである。法律では、大家は情報を機密にしておく義務があるが、これはルームメイトや隣人には適応外である。
テナントが他のテナントに伝え、彼らも同じ引っ越し日までに引っ越しを望んだ場合、テナントは彼らにフォームN15にサインする選択を提供できる。
もしも留まるテナントがサインをしない場合、その物件に住み続けるか、あるいはすべて一緒に60日前通知をするより前にリースを解消できる。

公営住宅のテナント
賃貸助成金を受給している、あるいはRGIユニット(所得に応じて家賃が決定する賃貸物件、rent-geared-to-income)に住むテナントは引っ越すことで助成金を受給できなくなることがある。
場合によっては、別の物件を優先的に得る資格を得ることもある。しかし、資格を有しない場合は別の公営住宅を何年も待たなければならないこともある。
この状況のテナントは選択肢について住宅供給者と相談することが出来る。

法的援助(legal help)を得る
テナントは暴力や虐待に関わる犯罪や家族、もしくは児童保護の問題に取り組むこともあるかもしれない。
ゆえに、賃貸状況がこれらの他の問題にどう影響を与えるのか、あるいは影響を受けるのかについて法的なアドバイス得ることは重要なことである。

おわりに
この記事は一般法的情報をお知らせするもので、特定の状況についての法的アドバイスを得ることに替わるものではありません。

Original source:
http://us4.campaign-archive2.com/?u=acaece29df8d07c95ef84a763&id=9a24428255