セーフティ・プラン ~ 家庭内暴力・デートバイオレンスの被害者の方々へ

JSSには、年間多くの家庭内暴力(※)やデートバイオレンスの被害者からの相談が寄せられます。家庭内暴力やデートバイオレンスは、加害者からの脅迫や圧力、家族や関係を立て直したいと願う気持ち、経済的な要素、罪悪感、情けなさや恥を感じる気持ち、トラウマ、など大変様々な要因が複雑に絡み合う問題であり、よく言われるような「逃げればいいのに」というようなシンプルなものではありません。また加害者も危険かつ狡猾で、常に被害者を監視し、逃げるための手段やサポートシステムを断ち切ろうと動いている場合も多く、逃れたいと思っても簡単ではありません。

※暴力の種類は、身体的・精神的・性的・言語/感情的・経済的・文化的など様々なものがあります。

家族または家族のように近い関係であるため、環境を変えれば問題がなくなるというものでもなく、自分や家族・親族・ペットなどの安全が脅かされるケースもあり、逃げるにも慎重に動くことが大変重要です。自分や子どもなど心身への危険を感じるようなことがある場合はもちろん一刻も早く安全な場所へ逃れる必要がある訳ですが、緊急事態には時間がなく焦っていることがほとんどで、必要な連絡先や書類などをすべて置いてきてしまった、どこへ逃げたらいいか誰に連絡したら良いかわからない、などパニックになるものです。普段から逃げ道や方法を確認し、子ども達や助けてくれる人たちとの合図や助けを求める方法を話し合っておいたり、必要なものや重要書類などを集め信頼できる人に預けておくなど、シェルターなどを探しておく、など、できるだけ身軽に素早く安全を確保する方法を練っておくことがとても重要です。これをセーフティ・プランニングといいます。

 

今回は、CLEO(Community Legal Education Ontario)のStep To Justiceプロジェクトが英語で作成した「My Safety Plan」のフォームを日本語に翻訳しました(全10ページ)。(Original Articleはこちら:英語)

 

CLEOがウェブサイトで説明しているように、セーフティ・プランには以下のような事柄が含まれます。
・緊急時の脱出方法
・子どもが安全確保と助けを求めに行けるための合言葉
・急いで逃げる時のために緊急バッグに入れておくもの
・コピーしたり確保しておく重要書類のリスト
・喧嘩や大きな音を聞いたり怪しいものを見たら警察に連絡するよう、近所の人や友人などに依頼しておく
・地域にあるシェルターの電話番号を確認しておく

 

暴力で悩んでおられる方、暴力に発展しそうな気がしている方、少しでも不安のある方は、ぜひ一度JSSへご相談ください。現状を踏まえた今後のこと、どういったオプションがあるのかということはもちろん、このセーフティ・プランニングも含め、私どもの相談員が相談者の個々の状況や希望を踏まえた形でサポートさせていただきます。

 

また、ご自身でフォームを使ってみようという方は、どうか十分安全な時を見計らい、安全な場所(加害者が確認できない場所)でフォームをダウンロードや印刷し、保管にも十分ご注意ください。加害者がアクセスできる端末からダウンロードされる方は、ダウンロード後にダウンロードやウェブサイト閲覧の履歴を消すなど跡が残らないよう慎重に行動してください。
多くの方々にセーフティ・プランニングの大事さをご理解いただき、安全にお使いいただきたいと思います。それと同時に、被害者の周囲の方々やコミュニティのひとりひとりが家庭内暴力やデートバイオレンスの問題の複雑さや解決の難しさへの理解を深めることで、被害者の皆さんが助けを求める声をあげやすい社会になっていくことを願っています。

 

「My Safety Plan」の日本語フォーム :
https://jss.ca/wp-content/uploads/2018/09/SafetyPlanningSheet_JP.docx.pdf

* この情報は、Community Legal Education Ontario (CLEO)より許可を得て、「セーフティ・プラン〜家庭内暴力・デートバイオレンスの被害者の方々へ、My Safety Plan」を翻訳・掲載しています。翻訳の質に関しては、Japanese Social Services が責任を担っており、CLEO の関与するところではありません。