身の回りの世話の為の委任状

< 免責事項 Disclaimer >
この「身の回りの世話の為の委任状」は、CLEO (Community Legal Education Ontario / Éducation Juridique Communautaire Ontario) が2016年5月に発行した冊子「Power of Attorney for Personal Care」の日本語版です。 翻訳の正確性に関しては、CLEOの許可を得ているJapanese Social Services (JSS) が全責任を担い、CLEOの関与するところではありません。
This is a translation of “Continuing Power of Attorney for Personal Care,” dated May, 2016, produced in English by CLEO (Community Legal Education Ontario/ Éducation juridique communautaire Ontario).  Japanese Social Services (JSS) is wholly responsible for the accuracy of this translation, produced with permission of CLEO.

はじめに:
オンタリオ州には3種類の委任状(Power of Attorney)があります。
•    財産管理の為の一般委任状(General Power of Attorney for Property)
•    財産管理の為の継続委任状(Continuing Power of Attorney for Property)
•    身の回りの世話の為の委任状(Power of Attorney for Personal Care)
この刊行物は「身の回りの世話の為の委任状(Power of Attorney for Personal Care)」についてです。
財産管理の為の継続委任状(Continuing Power of Attorney for Property)についてはCommunity Legal Education Ontario(CLEO)発行の別の冊子にて説明されています。英語版注文の方法は最後のページを参照してください。日本語版については、Japanese Social Servicesへお問い合わせください。

 

 What is a Power of Attorney?(委任状とは何ですか?)

委任状とは誰かほかの人に、あなたに代わって決定を下す権限を与える法的文書です。この人物はあなたの「代理人(attorney)」と呼ばれます。カナダでは、アメリカ合衆国と異なり、“attorney”と言う言葉は、通常は弁護士を意味しません。
あなたが自分で決定を下すだけの意思能力が失われた場合に、あなたに代わって身の回りの世話に関する決定をしてもらいたいなら、その人物に身の回りの世話に関する決定代行権「Power of Attorney for Personal Care」を与えることができます。これは「personal power of attorney」と呼ばれることもあります。

 What are personal care decisions?(身の回りの世話に関する決定とはどんなことですか?)

身の回りの世話に関する決定とは、あなたの健康管理と医療、食生活、住居、衣類、衛生と安全性に関する決定です。

Why should I have a Power of Attorney for Personal Care?(なぜ、私は身の回りの世話の為の委任状を用意する必要があるのですか?)

将来あなたが、身の回りの世話に関する決定をする意思能力(mental capability)がなくなった場合には、ほかの誰かがあなたに代わって決断しなければなりません。この人物はあなたの「代理意思決定者(substitute decision-maker:SDM)」と呼ばれます。
医療行為を含むいくつかの決断事項に関しては、法律上、あなたの主治医やその他の医療関係者は、行動を起こす前に、あなたの代理意思決定者の同意を得なければなりません。
身の回りの世話の為の委任状を作成することは、将来、あなたが意思能力を失った際に、あなたが自分の信頼する人を代理意思決定者として選ぶことを可能にするものです。
身の回りの世話の為の委任状を作成することは、あなたの身の回りの世話に関する決断事項についての、あなたの希望が尊重されることを確認する手段でもあります。あなたが望むことと、望まないことを言っておく機会にもなります。例えば、あなたが重体になった時に特定の治療を望まない場合には、委任状の中にそのことを述べることができます。

What is the difference between a Power of Attorney for Personal Care and a Power of Attorney for Property?(「身の回りの世話の為の委任状」と「財産管理の為の委任状」の違いは何ですか?)

「財産管理の為の継続委任状」又は「財産管理の為の一般委任状」は、あなたの代理人に、あなたの財政、住居、所有物の管理に関する決定の権限を与えるものです。「身の回りの世話の為の委任状」は身の回りの世話に関する決定のみに対応します。
あなたは財産管理の為と身の回りの世話の為に同一の代理人を任命することも、異なる人物を任命することも可能です。

When does a Power of Attorney for Personal Care take effect?(身の回りの世話の為の委任状はいつ効力を生じますか?)

あなたが意思能力を失い、一部、又は全ての身の回りの世話に関する決定が出来なくなった時にのみ、効力を生じます。一方、財産管理の為の継続委任状は、あなたがそう述べない限りは、あなたが立会人の前で署名次第、効力を生じます。
委任状の書類は、後日、意思能力を失った時にのみ使用する為に、多くの場合安全な場所に保管されます。

Who decides that I am mentally incapable of making personal care decisions?(誰が、私が「身の回りの世話」に関する決定をするだけの意思能力が無いと決めるのですか?)

それはその時の状況によります。あなたに意思能力があるかどうか「確認する人」を委任状の中で任命していない限りは、ほとんどの場合、あなたの代理人が決定します。
あなたが実際、他の「確認する人」を任命している場合には、その人があなたが何かを決断するには意思能力的に無理であることを確認するまで、代理人はあなたに代わって、身の回りの世話に関する決定を代行することはできません。

Who can I name to confirm that I am mentally incapable?(私が意思能力がない(mentally incapable)ということを「確認する人」として、誰を任命できますか?)

特定の個人、例えば、ファミリードクター、他の医療専門家、又は個人的な友人でさえ任命できます。もしくは、ソーシャルワーカー、精神分析医、看護師のような特定のタイプの専門職でなければならないと述べることもできます。
個人又は専門職を指名せずに、あなたの意思能力を確認してほしい旨を述べることもできます。その場合には「意思能力査定人(capacity assessor)」により確認がされます。この人物は意思能力が無いと判断する為の訓練を受け、決定することを認可された人です。
 

Can anyone else decide that I am mentally incapable of making personal care decisions?(他に、私が身の回りの世話に関する決断をするのには、意思能力がないことを決定できる人がいますか?)

はい。時には、その決定は、あなたの代理人やあなたが任命した人によらないこともあります。下記の状況に関する決定が、それに当てはまります。

  • 健康治療
  • 長期介護施設(long-term care facility)への入居、又は
  • 長期介護施設に入居中の入浴や食事の個人的支援サービスの必要

しかしながら、もし、このような事態になった場合に、あなたには州の「同意と意思能力に関する委員会(Consent and Capacity Board)」において、決定事項を見直してもらう権利があります。

What is the Consent and Capacity Board?(Consent and Capacity Board(同意と意思能力に関する委員会)とは何ですか?)

「同意と意思能力に関する委員会(Consent and Capacity Board)」とは下記の事項を含むさまざまな事柄を検討する為に、公聴会を開く独立機関です。

  • 健康治療、個人支援サービス、又は長期介護施設への入居に関する決断をする為の、個人の意思能力の見直し
  • 自分で決断をすることが出来ない人の為に、治療の決断をする代表者の選任
  • 治療の決定をする際の助言のための、代理意思決定者(SDM)からの依頼

 

Who decides that I am mentally incapable of making decisions about health treatment?(私が健康治療に関することを決定する意思能力がないということを、誰が決めるのですか?)

医療関係者は、あなたの同意無しに治療することはできません。彼らが、あなたが治療についての決断ができないとみなした場合には、あなたの代理意思決定者(SDM)の同意を得なければなりません。すなわち、あなたの代理人(attorney)又は代理意思決定者は、最初に医療関係者が、あなたが自分では決断できないと確信しない限りは、あなたに代わって治療の決断をすることはできないのです。
医療関係者には、医師、看護師、歯科医、理学療法士、作業療法士、精神分析医、精神科医など、多くの異なる職種があります。

Who decides that I am mentally incapable of making decisions about a long-term care facility?(私が「長期介護施設」に関することを決定する意思能力がないということを、誰が決めるのですか?)

「Evaluator(評価者)」と呼ばれる人が、あなたが自分の意思で長期介護施設に入居することについての意思決定ができるかどうかを決めます。評価者は、看護師、医師、精神分析医、作業療法士、ソーシャルワーカー、理学療法士、音声言語療法士、栄養士、聴覚療法士でなければなりません。
評価者が、あなたが自分では判断できないという結論を出さない限りは、あなたの代理人は、あなたに代わって決定をすることはできません。

How will my attorney make decisions for me if I become mentally incapable?(私が意思能力を喪失した場合に、私の代理人はどのように意思決定をするのでしょうか?)

あなたが自分の身の回りの世話に関する希望を意志表示している場合、あなたが自分の意思で決定ができなくなった時に、その希望があなたに代わってする意思決定に当てはまるなら、あなたの代理人はあなたの希望に従わなければなりません。その希望は、あなたが少なくとも16歳以上であり、まだ意思能力がある時に、自発的に意志表示されていなければなりません。

希望事項は、あなたの身の回りの世話の為の委任状又は別個の文書に含まれていてもいいですし、口頭で伝えておいてもいいし、例えばコミュニケーションボードや連絡機関などを通したりなど、可能な限りのあらゆる連絡手段を使ってかまいません。
医療に関する希望事項は、実際の治療や他の医療の必要性に関する決断がされる時期に先立って、本人の希望が意志表示される為に、多くの場合「Advance Care Plans(事前ケア計画)」と呼ばれます。こうした希望は、あなたが意思能力を喪失して、自分で身の回りの世話に関する決定ができなくなった場合に、あなたの代理人や誰でもあなたに代わって身の回りの世話に関する意思決定をする代理意思決定者にとっての指針となり役立ちます。

医療に関して、どのような書式の事前ケア計画(Advance Care Plan)を取ろうとも、それは医師や医療関係者が従う為のものではありません。それは、あなたの身の回りの世話の代理人、又は他の代理意思決定者が、特定の治療や他の医療に同意するか否かを決定する時に従う為のものなのです。

あなたの代理人があなたの希望事項を知らなかったり、あなたが全く希望を伝えていなければ、代理人は、あなたの最大の利に叶う決断をしなければなりません。あなたの価値観や信条、そして、あなたが意思能力を喪失した後で希望として意志表示したことであっても、考慮しなければなりません。

あなたの代理人は、どのような決断においても、起こりうる利益と危険性を比較検討しなければなりません。代理人は、治療、介護の種類、行動の指針が、あなたの生活の質を向上させるか、悪化を防いだり遅らせるかどうかについて判断し、決定しなければなりません。あなたの代理人は、危険性よりも利益の方が上回るかどうか決断しなければなりません。

まだあなたが意思決定が出来る場合には、あなたの代理人は、あなたは希望事項を変更したいであろう、ということを決定するかも知れません。例えば、あなたの身の回りの世話の為の委任状にはあなたが特定の介護施設の入居や、特定の治療を受けたくないと述べられているかも知れません。しかしながら、あなたが署名した後に、その施設や治療は改善されているかもしれません。あなたの代理人があなたが現在は以前とは違うように感じていると確信するならば、「Consent and Capacity Board(同意と意思能力に関する委員会)」に対して、あなたが伝えていた希望に反する行動をとることを許可する命令を申し立てることができます。しかし、あなたの代理人は、あなたがまだ意思能力を備えているなら、おそらく気が変わったということを理由に、委員会を納得させなければなりません。

What if I am mentally capable of making some personal care decisions?(私が一部の身の回りの世話に関して、意思能力がある場合にはどうなりますか?)

あなたの代理人は、あなたが意思決定ができない場合のみに、あなたに代わって意思決定ができるのです。例えば、あなたが食生活や衛生の意思決定は
できるが、医療については意思決定ができない場合には、あなたの代理人は、あなたの医療についてのみ、あなたに代わって、意思決定ができるのです。

Do I have to be mentally capable when I sign a Power of Attorney?(私が委任状に署名する時には、意思能力を備えている必要がありますか?)

はい。あなたが委任状に署名するときには、意思能力を備えていなければなりません。あなたは次の条件を満たしている時に、意思能力を備えていて、署名することが出来るとみなされます。

  • あなたが代理人として任命した人は、本当にあなたの幸せについて関心があるかどうかを理解している。
  • あなたは、この人物にあなたに代わって意思決定してもらう必要があるかもしれないということを理解している。

 

Can someone make a Power of Attorney for me if I become mentally incapable?(私が意思能力を喪失した時点で、誰かが私の為に委任状を作成できますか?)

いいえ。あなた本人だけが委任状を作成できるのです。あなたが意思決定能力を喪失した後で署名された委任状や、あなたに代わって、誰か他の人が署名した委任状は無効です。

Where can I get a form for the Power of Attorney for Personal Care?(どこで見の回りの世話の為の委任状の書式を入手できますか?)

あなたの弁護士と一緒に書面を作成できます。又は、公的後見人・管財人事務所(the Office of the Public Guardian and Trustee)発行の書式を使用できます。申込みは416-314-2800又は通話料無料番号1-800-366-0335に電話して下さい。ウエブサイトで書式をダウンロードすることもできます。www.attorneygeneral.jus.gov.on.ca
あなたが公的後見人・管財人事務所で配布している書式を使用するか、又は他の書式を使用するにしても、代理人を任命する前に、弁護士に相談するのが得策です。
身の回りの世話の為の委任状を用意する前に、あなたの主治医や他の医療関係者と健康と治療に関する指示について相談するとよいでしょう。
この書類に署名する前に、これがどのように使用されるかについて、あなたが知っておくべきことが沢山あります。

Is there anyone I cannot name as my attorney?(私が代理人として任命できない人がいますか?)

次に該当する人は任命できません

  • 意思能力を喪失している人
  • 16歳未満の人。
  • あなたに医療、居住、社会、支援、研修サービスを有料または有給で施す人(この人物があなたの配偶者、パートナー、親族でない限り)
身の回りの世話の為の委任状について以下のどれかが当てはまる場合には、その人物はあなたの配偶者です。
•   あなたが結婚している相手
•   あなたが最低一年間一緒に住んでいる内縁関係の人
•   あなたが書面による同棲契約を交わしている人
•   自分の子どもの親に当たる人
最低一年間同棲しており、双方にとって最も重要な親しい関係にあるならば、その人はあなたの「パートナー」です。
「配偶者」と「パートナー」は他の法律分野では異なる意味を持つことがあります。

 

Can I name more than one attorney?(複数の後見人を任命出来ますか?)

はい。しかし、あなたが複数の代理人を任命した場合には、彼らが単独で意思決定ができることをあなたが文書に記述しない限りは、あなたに代わって意思決定をする前に、あなたの全ての代理人の意見が一致する必要があります。二人以上の代理人が意思決定に同意する必要がある場合には、「合同で(jointly)」行動するといわれます。代理人が一緒にあるいは別々に意思決定ができるとあなたが言明した場合には「合同でも別々でも(jointly and severally)」行動するといわれます。

例:あなたが一人暮らしをしていて事故にあったとします。あなたは介護施設に入居する必要がありますが、現在、あなたが好む施設を自分で選択するだけの意思能力がありません。あなたの身の回りの世話をする為の委任状には、あなたの全ての身の回りの世話に関する意思決定をする代理人として、あなたの二人の友人、ポールとスーザンが任命されています。
しかし、ポールは現在休暇中で連絡が取れません。もし、あなたの委任状にポールとスーザンが「合同で」意思決定をしなければならないと述べられているならば、スーザンは単独行動を取ることはできません。
しかし、あなたの委任状が二人が「合同でも別々でも」意思決定ができると書いてあるならば、スーザンはあなたの為にすぐさま行動できます。たとえ、ポールとスーザンが二人とも応じられる時でさえ、一方又は他方がまだ単独に行動できます。あるいは、二人がその状況を話し合って、あなたに代わって、一緒に意思決定をすることもできます。
もし、あなたがどうしても複数の代理人を望むなら、あなたの代理人が合同で行動すべきか否かを慎重に考慮して下さい。あなたの委任状の中で、あなたの決定を明確にして下さい。

What if my attorney cannot or will not act for me when the time comes?(その時になって、私の代理人が私の代わりに意思決定ができなかったり、代理人をする気がなくなった場合にはどうなりますか?)

あなたが委任状を作成する時に、「代替代理人(substitute attorney)」を任命することができます。この人物は、第一指名の代理人(複数の代理人の場合もある)が任務を希望しなかったり、できない状態になった時に、あなたの為に行動することが可能です。代替代理人は第一指名の代理人と同等の権限を持ちます。
あなたは複数の代替代理人を任命することもできます。

Do I need witnesses when I sign a Power of Attorney for Personal Care?(私が身の回りの為の委任状に署名する時に、立会人が必要ですか?)

はい。法的に二人の立会人が必要です。あなたが署名をする時には二人とも同席しなければなりませんし、立会人も署名をしなければなりません。次の人々は立会人にはなれません。
(×)あなたの配偶者、パートナー、子ども、又はあなたの子どもと見なしている人(×)あなたの代理人、その代理人の配偶者又はパートナー
(×)18歳以下の人
(×)財産管理をする意思能力がない為に、裁判所によって任命された「財産後見人(Guardian of Property)」のいる人
(×)自分自身の身の回りの世話に関する意思決定が不可能な為に、裁判所によって任命された「人身後見人(Guardian of the Person)」のいる人

Can I cancel my Power of Attorney after I have signed it?(署名をした後で、私の委任状を取消すことができますか?)

はい。あなたが身の回りの世話の為の委任状を作成する意思能力がある限りは、それを取消し(又は撤回)できます。そうする為には、文書で委任状を撤回したことを言明して下さい。二人の人があなたがこの文書に署名する時に立ち会わなければなりません。両者とも、あなたが署名する時に同席しなければなりません。委任状の立会人になるのを許可されない人々は、この撤回書の立会人になることも許可されません。「revocation(撤回)」と呼ばれるこの声明書には特別な書式はありません。
委任状を見た人や、委任状の写しまたは原本を持っている人には、この撤回声明書を渡すのが得策です。可能であれば、委任状の原本を送り返してもらい、それを破棄して下さい。

備考:あなたが新たに身の回りの世話の為の委任状を作成すると、新しい
委任状にそうするなと書いていない限りは、既存の身の回りの世話の為の
委任状は、全て自動的に取消されます。もし、あなたがそのような事態を
望まない場合には、新しい文書における用語の選び方について、弁護士に相談して下さい。

When does my Power of Attorney for Personal Care end?(私の身の回りの世話の為の委任状は、いつ終了しますか?)

あなたが死亡した時、又は以下の状況にあたり終了します。

  • あなたが複数の代理人を任命していたり、代替代理人(substitute attorney)を任命していない限りは、あなたの代理人が死んだり、意思能力を喪失したり、辞任した場合
  • 裁判所があなたの人身後見人(Guardian of the Person)を任命した場合
  • 新しい「身の回りの世話の為の委任状」に、複数の「身の回りの世話の為の委任状」が欲しいと言う文言が無い限りは、あなたが新しい「身の回りの世話の為の委任状」に署名した場合、又は
  • あなたがまだ意思能力があるうちに委任状を撤回(revoke)した場合

 

What if I do not have a Power of Attorney for Personal Care?(もし私が身の回りの世話の為の委任状を持っていない場合にはどうなりますか?)

あなたが身の回りの世話の為の委任状を作成していなくて、意思能力の喪失により、身の回りの世話に関する意思決定が出来なくなった場合には、「Health Care Consent Act(医療行為同意法)」によって、他の代理意思決定者(substitute decision-makers:SDM)が一部の意思決定を行うことが許可されています。その中には健康治療、長期介護施設への入居、入浴などの個人的な支援サービスに関する決定が含まれています。他の代理意思決定者は、通常家族の一員です。
例えば、あなたが意思能力を喪失して、手術に関する意思決定ができない場合には、あなたの主治医は手術をする前に、代理意思決定者の同意を得なければなりません。あなたに身の回りの世話の為の後見人や法定人身後見人(13ページ参照)がいなかったり、代理人に連絡がつかない場合には、あなたの主治医は次のうちの一人から同意を得なければなりません。

  • あなたの「代表者(representative)」。代表者とは、あなたの治療、長期介護施設への入居、長期介護施設内での個人的な支援サービスに関する意思決定をする為に、「Consent and Capacity Board(同意と意思能力に関する委員会)」により任命された人物です。あなたの家族、友人を含む誰もがあなたの代表者になることを申請できますし、あなたが誰かを任命してもらうよう申請することもできます。
  • あなたの配偶者又はパートナー
  • あなたの16歳以上の子ども
  • あなたの親
  • あなたの兄弟姉妹
  • その他の親族
  • The Office of the Public Guardian and Trustee(公的後見人・管財人事務所)

あなたの主治医はこのリストに列記されている最初の人物から連絡を取り始めなければなりません。そのような人がいなかったり、その人があなたに代わって意思決定をできなかったり、したくなかったり、連絡が取れなかった場合には、あなたの主治医はリストに掲載されている次の人に頼まなければなりません。
ですので、あなたの代理意思決定者がこのリストによって決まるのを望まない場合、あなたの希望する人物を代理人として任命する為に、身の回りの世話の為の委任状を作成して下さい。

What is a Guardian of the Person?(Guardian of the Person(人身後見人)とは何ですか?)

Guardian of the Person(人身後見人)とは、あなたが意思能力を喪失して、自分で意思決定が出来なくなった場合に、あなたに代わって意思決定することを、裁判所により権限を与えられた人です。あなたの法定人身後見人はあなたと連絡を取り、あなたに相談し、あなたに代わって意思決定することをあなたが理解するよう努めて支援することが必要です。この後見人の責任は、あなた本人だったらこうするだろうと言う立場であなたの為に意思決定することです。あなたが希望することがはっきりしない場合には、この人物は、あなたにとって最善と思われることを基準にして意思決定をしなければなりません。

Can anyone become my Guardian of the Person?(誰でも私の人身後見人になれますか?)

いいえ。下記の事項を除き、あなたの医療、住居、社会的、訓練又は支援サービスを有料または有給で提供する人は、あなたの法定人身後見人にはなれません。

  • あなたの配偶者、パートナー、親族、財産管理法定後見人、身の回りの世話の為の代理人、財産管理の為の継続委任状における代理人、又は
  • あなたの人身後見人となる意志と意思能力のある友人や親族など、他に適任者がいないと裁判所が決定した場合。

  

Is it true that a court can appoint a Guardian even if I already have given a Power of Attorney for Personal Care?(私が既に身の回りの世話の為の委任状を持っているのに、裁判所が法定人身後見人を任命出来るというのは本当ですか?)

はい。しかし、そのようなことはめったに起きません。あなたが身の回りの世話の為の委任状を持っていることは、通常、人身後見人が不要であることを意味します。
しかしながら、物事がうまく行かない場合もあります。例えば、あなたの代理人が、あなたの希望に従わなかったり、あなたにとって得策の意思決定をしない恐れがあります。あなたがもはや意思能力を喪失していて、委任状を撤回したり、誰か他の人をあなたの代理人として任命できない場合には、あなたの友人や家族の一員は、あなたの人身後見人になることを裁判所に申請できます。もし、裁判所が同意すれば、あなたの人身後見人があなたの代理人の役割を引き継ぐことになります。

Getting legal help(法的助けを得る)

身の回りの世話の為の委任状について、法的助言や支援を得る為には、下記の場所を参照に弁護士に連絡して下さい。

  • Community legal clinics(地域の法律相談所)

一部の 地域の法律相談所(Community Legal Clinic)では、財産管理の為の継続委任状について、無料で法的助言ができることがあります。最寄の地域の法律相談所を見つけるには下記のウェブサイトを訪問するか電話してください。
ウェブサイト : www.legalaid.on.ca/en/contact
フリーダイヤル : 1-800-668-8258
フリーダイヤル(聴覚障がい者専用): 1-866-641-8867
トロント市内局番(聴覚障がい者専用) : 416-598-8867

  • Law Society Referral Service(弁護士会紹介サービス)

オンタリオ州弁護士会による紹介サービスでは、あなたのお住まいの地域で、最大30分まで無料で相談に乗ってくれる弁護士の名前をオンラインで提供しています。
もしあなたが拘留されている、シェルターにいる、或いはインターネットにアクセスできないような遠隔地にいるなどの理由でオンラインサービスが利用できない場合は、クライシスライン(crisis line)に電話してください。クライシスラインは月曜から金曜の午前9時から午後5時までご利用いただけます。
ウェブサイト : www.findlegalhelp.ca
クライシスライン : 1-855-947-5255
トロントクライシスライン : 416-947-5255

  • JusticeNet(ジャスティスネット)

JusticeNetは、法的扶助の資格の得ない人が、法的支援を見つける手助けをする非営利のサービスです。
JusticeNetは、経済的な理由がある人に対して、割引料金でお手伝いできる弁護士の名簿を備えています。
ウェブサイト : www.justicenet.ca
フリーダイヤル : 1-866-919-3219
トロント市内局番 : 416-479-0552
Email : info@justicenet.ca

For more information, contact(お問合せは)

この刊行物には一般的な情報が含まれています。これは、あなたの特定な状況についての法的助言を得る為の代わりになるものではありません。
Written by(著者):
Advocacy Centre for the Elderly (ACE) and CLEO (Community Legal Education Ontario / Éducation juridique communautaire Ontario)
Edited and produced by(校正・発行者):
CLEO
With funding from(資金提供者):
Legal Aid Ontario and the Department of Justice Canada
CLEOは他の法律部門の刊行物も発行しています。ほとんどのものは無料です。法律改正に伴い、刊行物を逐次改定しています。「廃棄表」を見れば、どの刊行物が有効期限が切れて、廃棄すべきかがわかります。
最新の注文用紙、又は「廃棄表」に関してはウエブサイトwww.cleo.on.caを訪問するか、416-408-4420に電話して下さい。
Translated by(翻訳者):
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Tel: 416-385-9200   Fax: 416-385-7124 (お問合せは日本語でどうぞ)
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原文: https://www.cleo.on.ca/sites/default/files/book_pdfs/power.pdf