【注意喚起】にせ家主にご注意を
先日、トロント・スター(theStar.com)に家主と偽り、海外からの留学生から不当に家賃収入を得ていることに関する記事が掲載されました。
JSSではこの記事の日本語翻訳を載せておりますので、是非お知り合いやご友人とシェアし注意喚起してください。
また、カナダのフリーマガジンBitsにも同様の記事が掲載されておりますので、併せてこちらもご覧ください。
【TheStar.com掲載記事】https://www.thestar.com/news/investigations/2017/05/12/this-renter-turned-a-toronto-familys-home-into-an-illegal-rooming-house.html
【Bits掲載記事】http://www.bitslounge.com/hokubei/020617_11
* 以下の情報は、TheStar.com「This renter turned a Toronto family’s home into an illegal rooming house」(2017年5月12日発行)の記事を翻訳・掲載しています。翻訳の質に関しては、Japanese Social Services が責任を担っており、TheStar.com の関与するところではありません。
以下、トロント・スター記事の翻訳
This renter turned a Toronto family’s home into an illegal rooming house
この男性は借りていた家を違法ルーミングハウスにしていました
現在カナダ国外に暮らしているトロント出身のある夫婦は、家を借していた女性の元彼氏が、自分達の家の家主に成りすまして、12人もの留学生にその家を又貸していた事実を知り大変驚きました。
ノースヨークにあるこの夫婦所有の高級住宅は、彼らの知らないところで、違法ルーミングハウス(台所やバスルームは共用のシェアハウス)と化し、12人もの留学生が詰め込まれて生活していたことが、本誌スターの調査でわかりました。
この家を違法に管理していたのはMichael Ryanという男性で、住居人には家主を名乗っていましたが、その家の法的な住居人ではありませんでした。Ryanは自分の別れた女性から住宅を非公式に又貸ししていました。しかし、この別れた女性が唯一のリース契約上の借り主であり、彼女は1年以上もこの家には住んでいませんでした。
「この人達がお金儲けのために私たちの家を違法で使い、私たちと学生の弱みにうまく付け込んだんです」こう話すのはDouglas Melvilleさんで、妻のGailina Liewさんと共に6つの寝室があるこの家の持ち主です。ふたりは2014年にこの家を購入しましたが、2年前に英国列島の財政オンブズマン(行政監察官)として雇われ、Channel Islandsに移りました。
「こんな状況に置かれている学生たちがいることを知って、彼らが気の毒で仕方ない」Melvilleさんはスターへのメールでこう述べました。
自らを家主と偽っていたことに加え、Ryanは海外からやって来てこの家を借りているカレッジ、大学、ELCの学生達が期待しているようないい大家ではありませんでした。
本紙は以前この家に暮らしていた二人と現在もこの家に住んでいる人に話を聞くことができました。彼らの話によると、この家には常時9人から12人が暮らしていて、それぞれ家賃を払っていたということです。Ryanは定期的に独断で保証金(Security deposit)を回収し、厳しい家中での規則を作りあげて執行し、借りている側の権利を無視していました。彼の作った家の規則には、友人を泊めることは禁止、掃除が行き届いてないと彼が判断した場合には20ドルの罰金を課すなどというものもありました。また賃貸者は家もしくは自分の部屋の鍵は受け取っていませんでした。
スターのインタビューの中で、Ryanはこう反論しました。「一度に9人の学生を住まわせてはいたが、それ以上だったことはない。スターの取材に応じた賃貸者は嘘をついている。ある賃貸者の『安全性に問題』があった為で、罰金を課した規則は、賃貸者に『誠実でいてもらうため』だ。」
またRyanは海外からの留学生達に、他の「ホームステイプログラム」が提供するよりはよい条件の住居環境での多文化経験を提供している」「自分のやってることを誇りに思う」と述べました。
市の条例によると、ノースヨークでは違法なルーミングハウスというのは、4人以上でキッチンやトイレをシェアする住宅のことで別々に家賃を払うもの、と記載されています。ルーミングハウスが認められているのはヨーク、トロント、エトビコークのみで、登録が必要なのと必ず定期的な検査を受ける必要がありです。スカボロー、イーストヨーク、ノースヨークでは違法です。
今回の住宅はElmwood通りという緑豊かな通りでちょうどBayview×Sheppardの北側にあります。約4,500平方フィートで、見上げてしまうくらい高い18フィートの天井、らせん階段、そして3つの暖炉があります。(オンラインレンタルリスト)
Melville、Liew夫妻は2014年に1,549,000ドルで購入しました。
銀行サービスと銀行投資の行政監察官(Ombudsman for Banking Service and Investments)の元部長であるMelvilleさんは、カナダを出国する前に賃貸者を見つけ、不動産管理会社に家賃徴収と家の管理を任せました。将来また家族でその家に暮らすつもりだったからです。
そのためMelvilleさんは会ったこともないRyanという人物が家を勝手に引き継ぎ、人が暮らせるありったけのスペースを貸し出していた事実を知り大変驚きました。
Melville、Liew夫妻は2016年1月に、トロント在住の心理学者であるMary Sharleen McDowall氏とのリース契約を結びました。リース契約・賃貸申請書には他のテナントや現住者の名はなく,、又借りも禁止記載されています。アラーム管理会社から「男性が暮らしている」という情報が入り、Melville、Liew夫妻はMcDowallさんが誰かと住んでいるということを知ったということです。
McDowallさんは本紙に以下のことを話しました。「Ryanとは同じ高校に行って、2015年の終わりのほうにまた連絡を取るようになって、復縁しました。」二人は一緒に借りる家を探すことに決め、物件を見つけるために不動産仲介業者を利用しました。McDowallさんはRyanさんの主な収入源が数人のホームステイ留学生の滞在させることだろうとわかっていましたが、それがリース契約違反になるとは思わなかったと。
リース契約から数か月して二人の関係が終わり、McDowallさんが出ていくことを決めました。一方で、Ryanさんは引き続き不動産管理人に家賃を払い続けることに同意しました。McDowallさんはそのことを家主、不動産管理人に伝えておらず、契約上では彼女が唯一の合法的な賃貸者でした。
「彼と付き合うのはとてもストレスで、ただこの状況から抜け出したかったんです。他にも問題があって、それに巻き込まれたくなかったんです。砂の中に少し、、、いやかなり頭を突っ込むような感じです」
「あの家で何が起こってるのかは、私も知りませんでした」McDowallさんはこう語ります。
「すべて問題ないと思っていましたし、家賃もちゃんと支払われていました」
問題が本紙の目に止まったのは、以前この家に住んでいた23歳の韓国人女性Jaehyun KimさんがRyanさんに不当な扱いを受けたことを訴えたことがきっかけです。Kimさんはワーキングホリデービザで6か月間カナダに来ており、彼女もRyanさんが家のオーナーで、大家だと信じていました。
Ryanさんは2月にたった数週間前の通知でKimさんを突然追い出し、150ドルのディポジットも返さず、Kimさんはそのことに腹を立てています。また、家を借りる契約をする際に、12人とキッチンをシェアしなければいけないということは一言も言われなかったということです。ひどい扱いだったと振り返り、Ryanさんが大家でないことを知らされて驚きを隠せませんでした。「みんな彼が家主だと思ってました」とKimさんは語ります。
この家に住んでいた元賃貸者によると、家賃はシェアベッドルームの450ドルから、個室のは800ドルで、これは韓国語のウェブサイトに投稿された広告とも一致します。12人でキッチンを共同で使うこともあり、なんと6人で一つのトイレを使うこともあったようです。Ryanは地下に住んでいました。
家主に支払われる毎月の家賃は4,300ドルで、広告に掲載されていた家賃と住んでいた人が請求されたと言う金額に基づくと、不動産管理人に支払っていたものに加えて約2,500ドル多く集めていた可能性があります。
Ryanはスター紙から連絡があった後、ストレスで疲れ果て、最近帯状疱疹が悪化しており、「正しい大家と借り手のルールには従っていなかったかもしれないが、毎月の家賃を払いそびれたり、家を傷つけたこともない」と言及しました。
「家の所有者は全く何の被害も受けていない。家賃も滞納していないし、家はきれいなままだし、我々は完璧な賃貸者じゃないか」とRyanは言います。
Ryanは留学生たちに英語の個人指導、栄養アドバイス、フィットネス・トレーニングにカウンセリングなどの最高のもてなしをしたといいますが、彼はそのどれも指導する訓練は受けていませんでした。
「僕がしてきた全てのことは、学生達を助けるためにしてきたことだ」とRyanは言いますが、スターの取材に応じたこの家の住民の話ではRyanさんはただ家を貸していただけで、その他の何のサービスも受けていなかったと言及しています。
Ryanは、彼がホストしたほとんどの学生の経験はいいものだったと言及しました。そこで本紙は2週間以上前に、その中の誰かにスターの連絡先を教えることができるか依頼しましたが、Ryanは拒否しました。また、そういった素晴らしい経験をした人から直接スターの方に連絡をとるよう促してほしいと彼に依頼しましたが、スター紙には誰からも連絡はありませんでした。MelvilleさんはMcDowallさんに「契約を終わらせるための60日前の通告」を出しました。
McDowallさんは本紙にこの状況を全て終わらせられることが出来るので、本当によかったと話しました。
April Stewart氏は問題のある賃貸借契約を抱えた家主を助けるのが専門のパラリーガルです。今回の件は国外に住む家主の教訓になるのではと分析します。
「遠く離れたところに暮らす家主にとって今回教訓となったのは、毎日家の管理をしっかりやってくれる不動産管理人を雇う事でしょう。細心の注意を払う必要があります」
「正規の登録ルーミングハウスは市の低価格賃貸住宅の大切なソースの一つです」こう話すのは市のライセンス課で調査課長をしているMark Sragaさんです。しかし、違法なルーミングハウスは火の始末、駐車、騒音の問題に支障をきたす恐れがあり、住宅の損傷については言うまでもありません。
「この手の住まいが必要とされ、実際に存在をしているという事実は無視できません。そういった住宅が適切なものであり、近隣住民に悪い影響はないことをはっきりとさせなければいけません」
昨年、市は901件の違法ルーミングハウスを調査し、そのうち違反勧告に値するものが78件もありましたが、起訴されたのはたったの2件でした。テナントと近隣隣人はルーミングハウスに違法の疑いを持った場合、311に電話をかけて報告することができます。
Sragaさんによると、住宅物件で違法ルーミングハウスが行われてるのが見つかった場合、家主にしかるべき対応処置命令、あるいは最大50, 000ドルの罰金を支払う責任がのしかかります。勧告を受け市の命令に従った際、この問題にしっかり対処していれば罰金の支払いは免除されます。
Stewart氏は言います。「不動産の所有者が最初のテナントの違法ルーミングハウス行為をLandlord and Tenant Boardに証明できれば、立退命令をもらえるはずです。その家に住む若者も当然不正のテナントとなるでしょう」
「悪意のない善人が、不運にも面倒な争いに巻き込まれてしまったようですね。」
Brendan Kennedyへのご意見はこちらから:bkennedy@thestar.caもしくは 416-869-4192
翻訳:阿部史祥