JSSホットランチ

DSCF0346前川照子
このプログラムがスタートしたのはかれこれ約15年前。Wynford Seniorグループの日系一世、二世の方々が、日本食は食べたいけれど、少々作るのが億劫になっていらした頃、JCCCの池田さんがJSSのファンドレージングにもなるのではないかと声をかけてくださったのを機に月一回、Wynford Seniorグループのミーティングで“熱々うどん”をサービスするようになりました。その当時はJCCCが現在の建物に移って間もない頃で、前の持主が使っていたままの、素晴らしいとはとても言えないキッチンでの調理・サービスでした。水道の蛇口をひねると匂いのついた濁った水が出てきたり、調理をするすぐ横には雨漏りの水を受けるためのバケツが置いてあったりと、今とは違った光景の中での作業でした。当初は毎回約150名近くのメンバーがミーティングに参加していらっしゃいました。そして、JSSは約150名分の“うどん”を作っていました。
その後の、JCCCの新たなキッチンでのホットランチでは、それまでこだわっていた“出来立て熱々うどん”を提供することが、ミーティング会場間に距離が出来てしまったため難しくなり、やむなく丼物メニューを主流に進めることになりました。そして、後には月一回だったサービスが月2回に増え、メニューも10種類を超えるようになりました。月2回のサービスでWynford Seniorの方々との距離が近くなったように思います。「今日は美味しかったよ。」と日本語で言って下さったり、時には「今日のはちょっと薄味だったね。」と感想を話してくださるようになりました。その間諸物価高騰があり、お値段を1ドル値上げして、現在の6ドルにさせていただきました。
ホットランチのメニューは、生ものはできるだけ避け、Wynfod Seniorグループの方々のお好みにそって、すき焼き丼、三色丼、和風ハンバーグ、カレーライス等の肉料理が主です。そこで、肉類は湯通しをしたり、酢でマリネーしたりとできるだけ脂分を少なくすることを心がけています。また多くの皆さまが甘めの味を好まれます。そこで皆さまの健康を考え、甘味が必要な時は、白砂糖よりは黒砂糖を使うようにしています。
作業は毎回、前日の仕込み、当日の調理・サービスに各々7~8名そしてそれ以前の買物作業にと、多くのボランティアが参加して行っています。食材購入に当たっては鮮度・価格・品揃え等を見比べながら、毎回トロント市内及びその周辺数軒の食料品店を回ります。お米が安い店が同時に肉・野菜が安いとは限らないのです。おかげさまで、どこの店がどんな品物を販売しているか、品の扱い具合はどうか等を知ることが出来るようになりました。
JSSにとってホットランチはファンドレーズの機会であると共に、Wynford Seniorの皆さまと知り合いになる場でもあり、そうしてお付き合いができたことで、JSSの活動を理解していただく機会になり、グループの皆さまから以前にも増してご支援をいただくようになりました。Wynford Seniorのメンバーは、残念ながら以前に比べると少なくなってしまいましたが、今もJSSは幾分広がった利用者の数を見込んで約100人分のランチを作っています。この約15年間、事故やトラブルもなくこのプログラムを続けてこられたのは、いろいろと便宜を図っていただいているJCCCの皆さま、JSSの職員、多くのボランティア、そして素人の作る食事でも文句なしに食べてくださるWynford Seniorの皆さま、更に利用してくださる会館利用者の皆さまのお陰だとありがたく思っています。
この度私はJSSを離れることになり、このプログラムに関わりがなくなりますが、Wynford Seniorの皆さま、そしてホットランチを助け、利用して下さる皆さまのご健康とご多幸をお祈りすると同時に、今後ともJSSを活用していただきたくよう、よろしくお願い致します。