健康志向:フランス料理、昔と今
マーシニック裕美
家庭で出来るフランス料理を教え始めて8年になる。
料理をすることはあまり好きではなく、きちんと習ったことのない私は、母やフランスの義母から受け継いだ沢山の料理の本を読みあさり, フランスから料理雑誌を送ってもらい、ネットでも調べまくって、まるで実験をするように何度も試作しながら毎月フルコースのオリジナルレシピを考えて来た。 そこまでして出来たレシピが喜んでもらえると本当にうれしい。
一昔のフランス料理といえば、バター, クリーム, チーズをたっぷり使い、付け合せはフレンチフライか茹でじゃが,バターライスなど高カロリー食事のイメージが浮かぶ。義母の古いフレンチ料理の本のレシピと、今のフランス料理雑誌のレシピを比べると、色合いも一皿の分量も同じフレンチには見えないぐらい違ってきている。 バターやクリーム入りこってりソースの役目のひとつは、新鮮な材料をいつでも提供する事が出来ない肉や魚や旬を過ぎた野菜果物の味を、大体いつでも同じように美味しく食べさせられるトリックでもあった。
現在は新鮮な食材も結構手軽に手に入り、もうおなじみのベジタリアン, 低脂肪, 塩分控えめに加えてオーガニックやベーガン,生の食事など健康を考えた食生活も注目をされ、フランス料理もどんどん健康志向に変わってきている。 見た目も味も良く低カロリーで体によく,満足感もなければいけない。 作るほうもなかなか大変な状況だけど、どんな所が変わったのか、家でも参考になりそうなものを見てみましょう。
クリーミーなソースの代わりに:
a) 野菜のピューレやハーブ入りのコンソメを使う。
b) 高質のベジタブルまたはナッツオイルに薫り高いハーブを刻んで入れたものを使う。
c) カリカリしたナッツや素揚げにしたオニオンなどをちょっとだけふりかけテクスチャーの違いを楽む。
仕上げにバターやチーズ,ソースを和える代わりに:
d) ゆでた野菜やベビーほうれん草やパセリなどのハーブを仕上がりのときにExtra Virgin オリーブなどの香りのよいオイルとともに加えて香りよく仕上げる。 プレーンヨーグルトを少し加えてもよい。(バター、チーズ、ソースなどは、いれても少なくてすむ。)
付け合せのポテト,ライス,パスタには:
e) ライスは玄米や雑穀,生のカリフラワーの花の部分に, ポテトは色の濃いヤム系や豆類に変える。(一部混ぜるだけでもだいぶ違う。)
f) パスタも全粒粉やグルテンフリーにしたり、スパゲッティースクワッシュやズッキーニ,ニンジンをパスタに見立てて代用したり一緒に茹でる。
その他にも:
g) サラダやデザートにはフレッシュ・フルーツやドライフルーツをふんだんに使う。
h) お皿の真ん中に盛ってまわりをハーブや少しのソースやピューレで飾る。
こんなところでしょうか?
料理の味自身を楽しむだけでなく、まずは色と香りを目と鼻で楽しみながら、時間をかけてゆっくり味わう。 フランス料理だけでなく、全ての料理に共通する大切なポイントだと思います。