ご存知ですか?9月はSuicide Awareness Month

Information compiled by Yuka Sato-Atiyota, MSW, RSW, and JSS Board Member
 

 
ご存知ですか?9月はSuicide Awareness Month、9月10日はWorld Suicide Prevention Day、国際保健機構が定めた世界自死(自殺)予防デーでした。このWorld Suicide Prevention Dayキャンペーンの柱となるメッセージは、Take a Minute (1分だけ時間をとって)です。(https://www.iasp.info/wspd2019/take-a-minute/)
 

  • 一分だけ時間をとって、気付いてください―あなた自身に何がおこっているか、あなたの家族に何がおこっているか、また友人、同僚たちにいったい今何がおこっているかを。
  • 一分だけ時間をとって、かかわってください―そして対話を試みてください、もしあなたが何か違和感を感じ取ったなら。
  • 一分だけ時間をとって、学んでください、あなたやあなたの周りの人たちに役立つ情報やサポートについて。

 
さて、それでは一分だけ時間をさいていただいて、一緒に自死予防について考えてみましょう。
 
自死に関するスティグマ(偏見や汚名、不名誉などと訳されます)のせいで、このことを話題にすることを難しく思う人は大変多く、またそれによって自死予防への一歩が踏み出せないケースがよくあります。また、何と声をかければよいのかわからない、かえって状況を悪化させてしまうのではないかという危惧から、危険に気づいていながらどうしていいか戸惑う人も大勢います。実際には、心からの関心やいたわりの気持ちをもって、先入観や批判的な見方を避けて相手の話を聞いてあげることができれば、その人の苦痛を和らげることはあっても、自死願望を助長するようなことにはならないことがわかっています。
統計

  • 毎年世界でおよそ80万人が自死によって命を落としています。
  • カナダでは、毎日およそ10人の人が自死によって亡くなっており、その他に250人が自死未遂を起こしています。
  • 自死は、カナダ国内における死亡原因の10位以内に入っています。

なぜ自死がおこるのか
これまでの研究で、自死に最も深く関わるリスク要因は精神疾患であることがわかっています。最近の統計によりますと、カナダ国内における毎年およそ4,000人の自死者のうち、90%以上が精神疾患や精神衛生上の問題に苦しめられていたことが明らかになっています。
自死を選ぶ人は、必ずしも自身の人生を終わりにしたいと思っているわけでははありません。むしろ、耐えきれないほどの精神的、感情的、または身体的な痛みや苦痛から逃れたい一心で、自死をその状況からの脱出の手段として選ぶことが多いとされています。
危険信号にはどんなものがある?
自死の危険信号には

  • 自死について考える、話す、
  • 自死の具体的なプランを考えている

というものがあります。
また次のような行動・状態がみられる場合、自死のリスクが高い可能性があるとされています。
以下のようなことを話すとき

  • 人生に生きる意味が見いだせない
  • 人生の落とし穴にはまってしまっていて身動きがとれない、やり直したりその状況から脱出するすべがない
  • 耐えきれないほどの苦痛や痛み
  • 自分が他の人の重荷になっていると感じる

感情

  • 感情の波が激しい
  • うつ
  • 興味や喜びの喪失、無気力、無関心
  • 不安感
  • 無力感
  • 倦怠感、イライラ
  • 激昂、ひどく怒る
  • 羞恥、不名誉

行動

  • 薬物や酒類への依存、また依存傾向の増加・悪化
  • 家族や友人との対人関係を避ける
  • あえて危険を冒すような行動をとる
  • 大切にしていたもの、高価なものなどを手放す、処分する

自死の予防のために何ができるか
自死予防の助けになるプログラムやサービス、サポートのためのストラテジーは、実は数多く提供されていることをご存知ですか?
もしあなた自身が自死の危険を感じているなら
自死について考えてしまうことは、決して恥じるべきことではありませんし、またあなたの弱さに起因することではありません。どうか忘れないでください 自死願望やそれに付随する 精神的苦痛を和らげる手助けはたくさんありますし、それを利用しようとあなたが思っているならば、それはあなたの強さ、賢明さの現れなのです。

  1. 会話をはじめよう - もしあなたが、自分自身で自傷や自死行為の衝動を感じているなら、誰かにそれを話してみてください。そして、決して一人にならないこと。信頼できる人たちのそばに身をおくようにしてください。必要であれば、専門家に相談してください。もしそばに誰も相談できるような人がいない場合は、あなたの地域のcrisis lineに電話してください。他のことを話すように、気軽に話してみてください。あなたに何がおきたか、起きているのか、あなたがどう感じているのか、またどんな助けが必要だと思うのか、説明してみてください。個人面接、電話、またオンラインのサポートなど、サポートの手段もいろいろあります。
  2. 電話をかける - もしあなたが今にも自傷・自死行為におよびそうだと感じたら、すぐに911に電話するか、近くの病院の救急センターに行ってください。
  3. セイフティープランをつくろう
  4. 自傷や自死行為に使おうと考えてしまうような道具、危険物などをできるだけ家から取り除こう
  5. 過去に同じような状況・衝動を経験している場合、その時何が役に立ったか思い出してみましょう
  6. 精神疾患(うつなど)の治療をうけましょう
  7. あなたの自死願望・衝動をよびおこす要因や状況にはどういうものがあるのか考えてみましょう
  8. 生きていることの利点、価値について考えよう
  9. 自分のケア -自分自身を大切にしてあげましょう。自分が楽しいと感じることを積極的に行ってみよう
  10. 忘れないで
  • 自死の危機・衝動はほとんど常に一時的・発作的なものです。
  • 最初、表面的には大きく複雑で解決不可能に見える問題も、実は大きく見えているだけのことが多いのです。
  • 生きる意味、生きていることの利点、良い点を考えることで、苦痛に耐えやすくなります。

 
もしあなたの周囲の人に自死の危険があると感じたなら
やるべきこと

  • 相手の、いつもと違う行動や態度の変化など、具体的な例を挙げて、どうしてその人のことを心配しているのか伝えてみましょう。
  • 先入観や批判をさけて、相手の言うことをよく聞いてみましょう。時間をかけて、注意深く話を聞き、相手が今どんなことを経験しているのか、理解するよう努めてください。このとき、自分が普段から精神疾患などについてどう思っているかを自覚しておくことは大切です。もしその人が、あなたのことを、批判的で偏見をもっていると感じれば、心を開いてくれる可能性は低くなります。
  • サポートを受けることをすすめよう。どんなサポートサービスや機関があるのか、事前に調べておきましょう。カウンセリングやDistress lineなど専門家や専門機関の提供するサービスはもちろんですが、家族や近しい友人など、身の回りの人にもサポートを求めるよう勧めましょう。
  • 危険度を確かめてください。直接的な質問をするのを恐れないでください。「自死について考えているの?」「自分が自殺するかもしれないと思う?」
  • もしその人が自死についての考えを否定した場合、または話したくないと告げた場合には、あとで必要になったら声をかけてほしいことを伝えましょう。必要になったらまた話を聞く準備があることを知ってもらいましょう。もし適当であれば、サポートサービスや機関の情報を渡すのもいいでしょう。必要であれば一緒につきそうことを申し出ることも助けになります。また、後で自分から連絡し、どうしているかたずねてみましょう。
  • もしあなたが、相手が今まさに自死の危機に瀕していると考えるなら、その人を一人にしてはいけません。その人の安全を確保する手段を講じてください。どうしていいかわからないのであれば、Distress line 等の機関に連絡をとって指示をあおいでください。緊急の場合は、その場で911に電話をしてください。

避けるべきこと

  • 自分がパニックにおちいる
  • 批判やお説教をする、相手に罪悪感を持たせるようなことをいう
  • 大げさに反応する、怒ったり、自分の機嫌をそこねる
  • 無視する、見なかった・聞かなかったふりをする(事実や相手の言ったことなど)
  • 相手の感情を否定したり、状況を軽視した言い方をする、また安易な解決策の提案をする
  • 自分を危険にさらす
  • 守れない約束をする 相手の自死願望を秘密にするという約束は、絶対にしてはいけません。

JSSは、福祉サービスを提供する公益法人として、自死願望や精神疾患と直面する方々を直接サポートすることはもとより、これらの問題にたいする偏見や先入観をなくしてくために、コミュニティへの情報提供や啓蒙にも力を注いでいきたいと考えています。
サービス・リソース
自死願望や精神衛生の問題について、あなたや、あなたの大切な人をサポートすることのできる団体やサービスは多数あります。英語ページのResources欄をご覧ください。一部を記載しています。
参考・引用元
 
英語ページのReferences/ Sources 欄をご覧ください。