自分のことを受け入れよう、自分のことを好きになろう
公家孝典(JSSカウンセラー)
心の健康状態を知るうえで、「自分のことを受け入れられているかどうか」「自分のことを適度に好きでいられるかどうか」ということが、非常に大きな指標になります。自己受容感・自己肯定感(英語で言うSelf-acceptance / Self-esteemですかね)が高い人は、これらが低い人に比べて心の健康状態を良好に保ちやすいです。この自己受容感・自己肯定感は、「心の健康を維持するための免疫システム」と言っていいでしょう。
さて、「自己受容感・自己肯定感が高い」というのは具体的にどういう状態かと言いますと、「私/オレって結構いい感じじゃん~」「私/オレってなんだかんだ頑張ってるよね~」「他の人には『変わってるね~』と言われますが、私はそんな私が大好きです」みたいな感覚がある状態ですかね。逆に、「オレ/私ってほんとダメ人間。。。」「自分自身がイヤでイヤでしょうがない」みたいな感覚を恒常的に持っている状態であれば、自己受容感・自己肯定感が低いと言えます。
身体的な免疫システムが、ウィルス/ばい菌から私たちの体を守ってくれるように、精神的な免疫システム(Mental Immune System)は日常生活で起こる様々なストレスから私たちの心を守ってくれます。例えば、「知り合いのAさんが、あなたのいないところで他の人たちにあなたに関していわれのない悪口を言っていたこと」を知ってしまったとしましょう。どんな人でもこのようなことに直面したら、嫌な気持ちになることは避けられないですが、自己受容感・自己肯定感が高く精神的な免疫が高い人(Highly Mentally Immune=HMI)と精神的な免疫が低い人(Low Mentally Immune=LMI)では、受けるダメージの大きさに差が出ます。このような事象に対するHMIな人の思考パターンの例としては、「腹は立つけど、特にやましいところはないし、堂々としてればいいよね」「腹立つから、Aさんに直接聞いてはっきりさせよう!」「Aさん、他人の悪口言うの好きだもんね~逆に、なんかかわいそうだわ~」「Aさんに嫌われてても、別にいいから気にしな~い」というような感じで、ネガティブな出来事があっても最低限のダメージしか負わず、立ち直りも早いです。逆に、LMIな人の思考パターンを挙げますと、「私が駄目だから悪口を言われるんだ、、、」「あの人たちに嫌われたら、もう立ち直れない」「もうあの人たち会いたくないから、~~~をあきらめるしかない」などなど、どんどん自分を打ちのめすような考え(Self-defeating Thoughts)が浮かんできて大きなダメージを負いやすく、長期にわたりそれを引きずりがちで、むしろ自分自身でそのダメージを増幅させていることも多いです。
心の健康と体の健康は密接につながっていることは、様々な科学的、医学的リサーチでも明らかにされていますし、ストレスいっぱいのこのコロナ禍をうまく生き抜いていくためには、体の免疫力だけでなく、出来るだけ心の免疫システムを高めておくことがカギになります。
今年は近年まれにみる雪の多い冬ですが、心と体の免疫力を高めてコロナ禍を乗り切っていきましょう!