カウンセラーより:「更年期とメンタルヘルス」
JSSカウンセラー/ソーシャルワーカー 三船純子
毎年10月は”世界更年期月間”です。更年期障害についての歴史的な偏見や沈黙を打ち破り、更年期の症状に悩む人を支援する輪を広げようという趣旨で制定されました。男女ともに40歳後に発症する体調の不良や情緒不安定などの症状をまとめて更年期障害と呼びますが、ここでは女性の更年期とメンタルヘルスについてフォーカスします。
更年期とは、卵巣の機能低下に伴って女性ホルモンの分泌量が減少していく時期で、閉経を迎える前後5年間のことをいいます。平均的に45~55歳ぐらいが更年期と呼ばれる時期と言われていますが、更年期には身体的な変化だけでなく、メンタルヘルスにも影響があります。
更年期のメンタルヘルスには神経伝達物質のセロトニンが関係しています。 閉経による女性ホルモンであるエストロゲンの減少が、心を安定させ脳の働きを促すセロトニンの分泌を減らすためです。 セロトニンは睡眠を司るメラトニン生成の材料にもなる為、不眠の原因にもなります。
更年期にはイライラ、うつ症状、もの忘れ、不安症状の悪化、集中力の低下などの精神的な不調を感じることも多くなります。また、だるい、疲れやすい、頭痛、不眠など身体症状も併発することもあります。
また女性が更年期を迎える年代は、多くの女性が子育てもひと段落したことで陥る”空の巣症候群”と時期が重なったり、高齢化した親の介護を背負ったり、仕事で責任のあるポジションに就いたりといったストレスの高じる時期とも重なります。そして、女性としての老化による肉体的な変化への不安などから、大きなあせりや幻滅を感じる時期でもあります。
大切なことは更年期障害にはこのような要因があることを理解して、自分の体が変化していくことを受け止め、日常生活に影響のある障害症状への対応やサポートを求めてみることかもしれません。
対応策としては、健康な生活習慣(バランスの取れた食事、適度な運動、適切な休息)、ストレス・マネージメント(深呼吸、瞑想、ヨガ、リラクゼーション法)、専門医や漢方医のアドバイス、必要に応じて薬物療法、心理的なサポート(サポートシステムの活用、カウンセリング)などががあります。
更年期のメンタルヘルスの問題は個人によって異なるため、それぞれのケースに合わせたアプローチが必要です。専門家の助言を受けつつ、心理的なサポート、適切な対応法や治療法を組み合わせて、更年期のメンタルヘルスの問題に対処することが大切かと思います。
References (英語のみ):
https://menopausefoundationcanada.ca/
https://www.cbc.ca/news/business/menopause-costs-canada-s-economy-billions-report-1.6995383