カウンセラーより:「寒い季節を乗り越えるには」
JSSカウンセラー/ソーシャルワーカー 三船純子
今年のオンタリオ州は例年にない暖かい秋ですが、紅葉は進み朝晩の気温は低くなってきています。これからやってくる寒い季節とメンタルヘルスは密接な関係があります。寒い時期、特に秋から冬にかけて気温が下がり、日照時間が短くなることで、多くの人が気分の落ち込みやエネルギーの低下を感じやすくなります。季節の変化がどのようにメンタルヘルスに影響を与えるか、その要因を考えてみましょう。
「季節性感情障害(SAD)」
寒い季節に特有のメンタルヘルスの障害として「季節性感情障害(SAD)」があります。これは、日照時間の減少に伴い、セロトニン(気分を調整する脳内物質)の分泌が減少し、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が増加することで引き起こされると考えられています。これにより、抑鬱症状や疲労感、興味や楽しみの喪失などが現れると言われます。
「日照時間の減少」
日光に当たる時間が短くなると、ビタミンDの生成も減少しますが、ビタミンDは気分や免疫機能に重要な役割を果たしており、不足すると抑うつ傾向が強まることがあります。特に、カナダを含む北半球の高緯度地域では、冬季に日照時間が著しく短くなるため、これがメンタルヘルスに影響を与える可能性が高まると言われています。
「気温低下による活動量の低下」
気温が低いと外出する機会が減り、身体活動が減少する傾向にあります。運動不足は、エンドルフィン(気分を調整する脳内物質)の分泌を減少させ、気分の低下を招くことがあります。また、オンタリオの冬のように寒さが厳しかったり、積雪が増えたりすると家にこもりがちになりがちになり、その結果社会的なつながりが減少し、孤独感を感じやすくなることもメンタルヘルスに影響します。
「年末年始のストレス」
冬はクリスマスや新年など、家族や友人と集まる機会が増える時期ですが、これがストレスを引き起こす場合もあります。経済的な負担や対人関係の問題、期待やプレッシャーによって、メンタルヘルスに影響を与えることがあります。また逆にそのような機会が無い場合も、孤独感やストレスを感じる要因になります。
寒い季節にメンタルヘルスを守るための対策として、下記のことを試されてみてはいかがでしょうか?
日光浴やライトセラピー:日照時間が短くなる場合は、できるだけ日中に外出し、日光を浴びるように心がけましょう。ライトセラピー(光療法)は、SADの症状を軽減する効果があると言われています。
運動習慣の維持: 寒い季節でも、室内での運動やストレッチを取り入れることで、運動習慣を継続しエンドルフィンを分泌させ、気分を改善する効果があります。
ビタミンDの摂取;食事やサプリメントでビタミンDを補うことも効果的と言われています。特に日光に当たる機会が少ない地域では、意識的な摂取が推奨されています。
コミュニケーションの維持;孤独感を避けるためには、友人や家族とのつながりを保つことが重要です。寒い季節でも電話やリモートで会話をする、コミュニティーで提供されているプログラムに参加するなどして、積極的に交流を持つようにしましょう。(JSSでは下記のプログラムを提供しております:https://jss.ca/services/programs/ )
リラクゼーションや瞑想: ストレスを軽減するためには、リラクゼーション法や呼吸法や瞑想などを習慣的に取り入れることで心を落ち着かせることができます。
これからやってくるカナダの寒い季節は体調や心のケアが重要になる時期ですので自分を大切にし元気に過ごす方法を意識的に取り入れてみられてははいかがでしょうか。