ある程度のストレス(緊張)があるのは正常で、よいことです。

過度の緊張や長期に渡る緊張は頭痛、腹痛、高血圧、胃潰瘍、その他の深刻な症状を引き起こします。ストレスに対して、気に病むこと、食べ過ぎ、薬の誤用、たばこの吸い過ぎ、飲酒、カッとすること、不平を言う等々の対処の仕方はさらに緊張を高めてしまうので不健康です。

より健康的な方法でストレスに対処するには、運動と元気が出るような楽しいことを見つけることです。緊張をやわらげると証明されている一つの方法がリラックス法です。リラックスする事によって、体を休めます。心拍数や血圧、呼吸数、筋肉の緊張も低くします。身体がホッとできる快適な状態になります。リラックスすることによって、恐れたり、心配したり、興奮した時、又は身体が衰弱した時に経験する感情と反対の感情を生み出すのです。

リラックス法はストレスの原因を取り除くことはしませんが、ストレスによって生じる緊張をやわらげることができます。簡単なリラックス体操によって、筋肉の緊張と心の緊張を和らげることができます。リラックス体操を続ける事によって、心の安定はもちろん、体の健康状態も改善し、人生を楽しむ力が増すのです。

どのようにしてリラックスするか

簡単なリラックス体操がたくさんあります。ここに紹介する体操は家庭でできるものです。これらの体操は筋肉の緊張を和らげます。
まず最初に、リラックス体操に適した時間と場所を選びましょう。ルールは簡単、静かな場所、邪魔されない時間を選びましょう。強い光や大きな音のする場所は避けましょう。そして、頭をしっかりと支える、座り心地のいい椅子も必要です。これらの体操は座った姿勢でします。気持ちよくなれるように、ゆったりとした衣服で、体を締め付ける物や貴金属、メガネ、靴などは外しましょう。

体操1

椅子に深く腰掛け、背もたれに寄り掛かります。目を閉じ、深く息をしましょう。深呼吸を10回します。息を吐き出す時には、のどから「はああー」とか「ああー」というような発声をしてみましょう。息を吐いた後、あくびをしたくなるかもしれません。そのまましばらく椅子に寄り掛かったまま、ゆっくり呼吸します。

体操2

椅子にゆったりと腰掛け、深い呼吸をします。この時、鼻から深く息を吸い、軽く開けた口から、息を全部吐き出します。あなたの肩や背中、足の重みが椅子に掛かっているようにします。呼吸をする度に、あなたの重みがより椅子に掛かり沈んで行くように感じて下さい。これを数分間繰り返します。この体操の後、元の姿勢に戻って下さい。
深呼吸運動は激しい痛みを和らげるのにも効果があると証明されています。

体操3

椅子にゆったりと腰掛け、以下の動作をします。これらの動きは筋肉の緊張を和らげ、リラックスさせます。

  • 両方のこぶしをできるだけ固く握りしめます。そのまま10秒握りしめ、一度に緊張を解きます。そのまま30秒休みます。(それぞれの運動の後同じように休んで下さい)
  • アゴにぐっと力を入れ、大きな笑顔を作ります。そのまま10秒。リラックス。30秒休む。
  • かかとを床に押し付け、つま先を上げます。そのまま10秒。リラックス。30秒休む。
  • 肩を耳の高さまで上げ、そのまま10秒。リラックス。30秒休む。
  • お腹を引っ込め、腹筋を緊張させ、そのまま10秒。リラックス。30秒休む。
  • 眉を上げ、頭皮を緊張させ、そのまま10秒。リラックス。30秒休む。
  • 静かに座って、深呼吸を10回。立ち上がる時は、ゆっくり動いて下さい。

体操4

目を閉じ、外の階段を10段降り、静かな所に立ったと思い描いて下さい。
あなたの覚えている静かで気にいった景色を思い浮かべて下さい。心の中で、階段を一段一段、ゆっくり降りていってください。一段降りる度に、あなたの緊張が少しずつ解けて行きます。階段の下まで降りたら、腰を掛け、あなたの思い描く静かな場所で休んで下さい。あなたの周りを見回し、色や音、匂いを楽しんで下さい。もうよいと感じたら、伸びをして、目を開け、あたりを見回して下さい。(この体操を繰り返す時は同じ情景を思い浮かべて下さい。次第に、より細かい所まで思い描くようになります)
リラックスする方法は、何世紀も前から様々な文化の中で行なわれてきました。最近の一時的流行ではなく、長く伝えられて来た技です。年輩の人達の中に多くの先生や指導者がいます。彼らから学ぶこともできるのです。
他の方法と同様に、すぐに効果があるものではありません。リラックスする方法は少しずつ覚えて行くものです。毎日繰り返しましょう。すればするほど、リラックスできるようになります。こうした技を身につけると、良い状態でいることの新しい感覚を発見することができます。
参考資料:Relaxation and Health, Toronto Public Health pamphlet (2002)