JSSカウンセラーより:賃貸に関する情報ー日本からの留学生・ワーキングホリデーの皆さんへ

JSSカウンセラーより:賃貸に関する情報ー日本からの留学生・ワーキングホリデーの皆さんへ
公家孝典カウンセラー記

Takanori Kuge, JSS Counsellor

毎年、数千人にのぼる若者達がワーキングホリデービザや学生ビザにより、トロント近郊で働いたり、英語を学習したり、海外生活を経験する為に日本からやって来ます。ほとんどの滞在は、英語に自信をつけコミュニケーションスキルを磨いたり、素晴らしい文化的な体験をする絶好な機会となります。しかし、一部の人にとっては、悪辣な家主や職場での雇い主の餌食になり、辛い体験をすることにもなります。残念なことに、一部の人は経済的な損失を被るだけではなく、犯罪や性的虐待の被害者になることもあります。
トロントの日系コミュニティーにおけるJSSの知名度はそれほど高くなく、特にワーキングホリデーや学生などの短期滞在者でJSSの存在や活動について知っている方はそう多くはないとは思うのですが、それでも自分だけでは解決できないようなトラブルや問題に直面すると、口コミ又は警察、病院、学校など他の機関からの紹介により、JSSにコンタクトしてくるトロントに短期滞在中の若者はかなりの数に上ります。トロントには、問題が起こったときにその問題の種類に応じて“英語で”相談を受け付けてくれる政府機関やNPOがたくさんありますが、日本語で対応できるカウンセリング&社会福祉分野の専門性を持ったNPOはJSS以外にはないので、たくさんの日本人がJSSにサポートを求めて相談にいらっしゃるのは当然といえば当然なんですけどね。
彼らからの相談内容は多岐に渡り、しばしば、彼らからの相談内容はJSSの取り扱い業務にあてはまらないものもあるのですが、もっとも頻度の多い問題は二つのカテゴリーに分けられます。即ち、家主と借家人の問題が一つ、もう一つは雇用に関する紛争です。今回は、日本の若者が直面する典型的な住宅問題に焦点を当ててみましょう。
例えば、the Residential Tenancy Act (RTA: オンタリオ州の賃貸契約に関する法律)によれば、基本的に家主がテナントが入居する際に請求できるのは“最初の月と最後の月の家賃”のみなんですが、悪辣な家主は日本人の借家人から「セキュリティー・デポジット」や「キー・デポジット」と称して数百ドルを請求することが多々あります。残念ながら、借家人が「セキュリティー デポジット」は違法であると気がついた時には後の祭りです。何故なら、一旦払ってしまったものを取り返すための法的な手続きには時間がかかり、ほとんどのケースでは、短期滞在の彼らの滞在期限までに解決するのは無理だからです。解決する前に、被害者は既に帰国への機上と言うわけです。
*(セキュリティーのしっかりした高層のアパートやコンドミニアムでは、正面玄関、駐車場、ランドリールームなどのカードキーを管理するために、数十ドルのキーデポジットを請求されることがありますが、これは退去時にカードキーと引き換えに返却されます。)
また、ワーキングホリデービザや学生ビザでの滞在者の多くはいわゆる「ルームレント」や「シェアハウス」という賃貸形式を利用しますが、その際、テナントが家主とキッチンやお手洗いを共有しなければならない住居に引越す場合には、特に注意が必要です。何故なら、この場合にはthe Residential Tenancy Act は適用されず、何か賃貸にかかる紛争が起こった場合にその解決がいっそう難しくなるからです。