セミナー:「認知症サポータートレーニング:キャラバン・メイトの研修」

image1平賀智美
6月21日、JSSと日加学園の共同主催のもと、小学校高学年から中学生を対象として、「認知症サポータートレーニング」が開催されました。
「認知症サポータートレーニング」とは、認知症サポーター・キャラバンの一環であり、認知症の人とその家族への応援者である認知症サポーターを多数養成し、認知症になっても安心して暮らしていける街づくりを目指し、日本で発足されたキャンペーンです。サポーターの育成はすべてボランティアで行われており、現在、4,989,053人(2014年3月31日時点)のサポーターが、日本各地、そして在外日本人コミュニティーに広がっています。
この度は、プログラムの作成から実施に至るまでを、昨年11月に実施された「認知症キャラバンメイト研修」を受講したキャラバンメイトが講師となり執り行われました。プログラムは、日加学園の浜場校長先生の挨拶から始まり、認知症サポーターの成立ちや認知症の症状や行動障害、本人、家族が抱える苦悩とそれを支えるサポーターとしての役割を、寸劇やグループワーク、またロールプレイや紙芝居を交えて行われました。
寸劇は、まず始めに“好ましくない対応の仕方”を参加者に見てもらいました。登場人物“おばあさん”の認知症症状だと思われる言動を劇中からあげてもらい、その時のおばあさんの気持ちや、家族や近所の人たちはどのように対応すればよかったのかをグループで話し合いました。参加者は“おばあさん”の身になって真剣に考え、とても有意義な意見が集まりました。そして、グループで出た意見を発表してもらった後、それらを参考にしながら次は“好ましい対応の仕方”の寸劇を見てもらいました。また、参加者にも一部の役を演じてもらい、実際に体験してもらいました。
休憩を挟んでからは、Momiji Healthcare Societyの看護師、岡田由佳さんによる「認知症について」の講義を聴いてもらいました。脳の病気というと少し難しく聞こえますが、イラストや例えを利用して、参加した子どもたちに分かりやすい内容で、全員真剣に聞き入っていました。
講義終了後は、参加者に修了の賞状と認知症サポーターの証であるオレンジリングを贈呈し、終了しました。参加者からのアンケートでは、「認知症という病気が何か分かった」「これから認知症の人を助けてあげられる」等といった感想が多く寄せられました。
85歳以上の4人に1人が何らかの認知症症状があると言われる中で、高齢社会は日本だけでなく、カナダでも大きな問題です。特に多様な文化を背景に持つ様々な人が暮らすこの街で、日本という文化を知る子どもたちが、認知症に興味を持ち、理解してくれる事は日系コミュニティーにとって、とても心強いサポーターではないかと思います。“認知症サポータートレーニング”は、全てボランティアで行われるものなので、多くの人の協力が必要になりますが、「認知症になっても住みよい街づくり」を目指して、これからも学生だけでなく大人も含め、更に多くのサポーターを育成していきたいと思います。
研修会の様子
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