JSSプログラムレポート:プログラム、オンライン化
高野千恵(コミュニティ・アウトリーチ・ワーカー/ボランティア・コーディネーター)
パンデミックもあっといういう間に半年以上が経過し、3月中旬よりお休みとなっているJSSプログラムは、6月からオンライン(Zoomというオンライン会議ツールを使用)でその一部を提供しています。オンラインプログラムは私たちにとっても初めての試みで、システムやツールを学ぶことから始まり、提供側である私自身がセッションが開けたり、ボランティアさんや参加者の方々が使えるように教えたりできるようになるまでの過程も、大きなチャレンジでした。また、参加者のみなさんのオンライン上の安全を守るためのガイドラインやルールなどの設定も行う必要がありました。
自宅にいながら気軽に参加してもらえる、遠隔地に住む人とも繋がれるなどの利点はありますが、オンラインという形には限界もあります。ストリーミングに遅れが生じるなどの技術的な問題もそうですし、ネット環境やデバイスのない人やコンピューター操作などが思うようにできない人はアクセスしにくいなどの難しさもあります。そこで、「コミュニティの人々や(感染リスクが高いなど)孤立している人々と繋がり、彼らが交流できる場を提供する」ということを今回のオンラインサービスの主なゴールとし、このオンライン化を進めてきました。人間は他の人との繋がりを求める生き物、というのは特に昨今よく言われることですが、健康と安全のため直接他の人に会わないほうがいいとはいえど、孤立が人の健康を著しく損ねることもあるからです。
どのプログラムをどのようにオンライン化するかにあたっては、4~5月にかけて利用者に実施したアンケートが大きなヒントになりました。現在Zoomで提供している通常プログラムは、ホットランチ交流会、クラフトクラブ交流会、シニア歌の会、シングルマザーサポートグループです。詳細や参加申込はChie(programs@jss.ca / 416-385-9200)までどうぞ。
これらの通常プログラムの他に、このゴールのもと新しい試みも始まりました:モミジヘルスケア協会と共同提供のオンライン講座です。このコラボにより、JSSがより多くの孤立した人々とつながることを可能にしました。パンデミックが到来してから無料オンライン講座を多く目にするようになりましたが、そのほとんどが英語。日本語での提供はほとんどといってありません。そこで、この試みでは、利用者にわかりやすいインターフェース、最も届けたい人々に関連しており理解しやすい情報(健康、食べ物や料理、法律、アートなど)、Zoomのインストールや使用方法を事前に学ぶ機会をもつ、などの工夫により、孤立しがちな人々と繋がれるよう努めています。事実、参加者の約40~70%がシニアであり、またGTAの外(他州含む)からの参加も頻繁にあります。この試みをなんとか続けていくにあたっては、みなさんの支援が必要です。講座では、ご参加いただくみなさんはもちろんのこと、専門分野や趣味・得意なことなどをシェアしていただけるゲストスピーカーなしでは成り立ちません。ゲストスピーカーになってもよいという方、そういう人を知っているという方、ぜひ私どもまでご連絡ください!(「専門家」でなくても全然OKです!)
最後に、リモートやオフィスにてこれらのプログラムをコーディネートしてくださっていたり、事務的・技術的支援を日々提供してくださっているJSSボランティアのみなさんに深い感謝の意を表します。彼らの支援なしには、JSSの金銭的困難により限られた時間しかないスタッフだけでは、これらの活動は成しえません。
そんなボランティアさんのひとり、故・足立美智子さん―辛抱強く熱意をもって私たちの活動を支えてきてくださった彼女が、2020年9月12日に急逝されました。JSSで美智子さんはまさに「みんなの右腕」。JSSニュースレターの発行、ウェブサイトやデータベースのメンテナンスや管理、ボランティア技術教育などをはじめ彼女の貢献は数えきれないほど。常に熱心に私たちの活動を支援し続けてくれた仲間であり、優しく面倒見のよい友人でした。大きな悲しみの中でも、彼女の意思と技術を継いだボランティアさんたちが今日も前を向いて活動を繋げてくださっているのを、きっと笑顔で見守ってくれていることと思います。ご冥福をお祈りいたします。