ホリデードライブインタビュー

公家孝典とやなせマリオン
kugeimg2コミュニティーの読者の方々にJSSが毎年末に行っているホリデードライブについてよりよく知ってもらうためにいくつか質問させていただきます。まず、ホリデードライブはどのようなプログラムですか?
JSSのホリデードライブは、諸事情で経済的に苦しい状況にあったり、孤立化してしまっているコミュニティーのメンバーがより良い年を迎えられるためのサポートを提供する目的で、16年前に始まりました。それ以降、このプログラムには日系コミュニティーの団体や個人から寄付金やたくさんの物品が寄せられます。11月末から12月半ばまで、JCCC、日系コミュニティーの教会、デイケアセンター、リタイアメントホーム、日本雑貨店など数か所にドネーションボックスを設置させていただき、物品の寄付を募っており、主に傷みにくい日本(東洋系)の食材(のり、醤油、カルロ―スライス、乾物、インスタントラーメン、おせんべいなど)、子供用の未使用のおもちゃ・ゲーム、冬用の衣服やブーツなどです。各レシピエントにはあらかじめリクエストを聞いているので、もちろん、すべてのリクエストには応えられませんが、寄付金を使って足りないものを買い足したり、特定の物品をメールリストに配信させていただいたりして、できるだけ各レシピエントのニーズに応えられるように仕分けされ、12月20日頃に配達されます。ドネーションボックスの設置、回収、仕分け、配達にいたるすべての作業は、JSSのスタッフ、理事およびボランティアで分担しています。
ホリデードライブのギフトに不向きなものはありますか?
もちろん、ご寄付いただいた物品は出来るかぎりレシピエントの元にお届けできるよう努力していますが、賞味期限の切れた食品は論外ですし、傷みやすい食べ物は難しいですね。
毎年ホリデードライブに物品を寄付してくれている方が、「すべての家庭でカナダの伝統的なクリスマスが祝えるように本当はターキーを寄付したいんだけど。」とおっしゃっていましたが、どう思いますか?
喜ばれるレシピエントもおられると思いますが、まず、JSSには何十個もの冷凍ターキーを保管しておく場所が無いですし、レシピエントの中には料理をまったくしない方もいらっしゃいますし、ターキーの苦手な日本人も結構多いですよね。熱々のチキンの丸焼きをお届けできればいいんでしょうけど、それも難しいですよね。
食べ物以外の物品でギフトにむかないものはありますか?
そうですね、大人用の服も、各レシピエントのサイズや好みなどが把握しきれないので分配するのが非常に困難です。
年末にニュースかラジオで他の大きな団体がやっているギフトドライブのトピックで同様な問題を取り上げていたときに、「無料であげるものなんだから、受け取る側もそんなに細かいところまで気にしないだろうし、気にするべきではない」っていうようなことを言っていた人たちがいましたが、これについてどう思いますか?
個人的に、すごく傲慢な意見だと思います。JSSのホリデードライブでは、出来るだけ各レシピエントと物品のマッチングを考えて、レシピエントの方々が受け取っても困ってしまうような物品がギフトに割り当てられないように努力しています。子どもの衣類については少々事情が違います。小さい子どもたちは親が選んだものを着ますし、育ち盛りの子どもたちは、多少彼らの好みと違っていても、ワンシーズンくらいしか着れないですしね。毎年、ウィンタージャケット、ウィンターパンツ、ウィンターブーツ、手袋、帽子のリクエストはたくさん頂きますし。子どもの衣類(特にウィンタージャケット&パンツ)は、状態のいい中古品も受け付けています。
クリスマスシーズンはみんなが優しい気持ちになれて、寄付なども一番集まる時期ですよね。この時期以外にも、JSSでギフトドライブができればいいと思うのですが。
もちろん、出来たらいいなとは思いますが、かなり難しいですよね。守秘義務を徹底するために基本的にレシピエントとのコミュニケーションは私が担当していますが、これにはなかなか時間がかかります。また、広告、ドネーションボックスの作成および設置、協力団体との連絡・連携、配達用ボックスの収集、ドネーションボックスおよび寄付された物品の回収、寄付された物品の点検および仕分け、物品の買い足し、配達日時・場所の調整、配達といった非常に時間と労力のかかるその他の作業も、すべて非常に限られた人数のJSSのボランティア、理事およびスタッフが行っていて、これと同様なプログラムを年に複数回実施するのは不可能ですね。
どうすればこのプログラムを利用できるのですか?
ほとんどのレシピエントはJSSのクライアントや元クライアントの方々ですが、JSSのクライアントに限定しているわけではなく、実際そうではない方もいらっしゃいます。このプログラムにご協力いただいている日系教会などの日系の他団体や、このプログラムのことを聞いたコミュニティーの方がレシピエントの候補を紹介してくださることもあります。ご紹介いただいた候補の方にはこちらから電話で簡単なアセスメントをさせていただき、ニーズがあると判断できればレシピエントに加えさせていただきます。また、例年何名かのレシピエントが状況の好転を理由に“卒業”されたりするので、レシピエントの数はここ数年あまり変動がありません。
このプログラムに関して、どのように宣伝されていますか?
ホリデードライブの一般的な情報および寄付募集に関しては、JSSのウェブサイト、トロントで配布されている日系情報誌、日系の諸団体を通じてコミュニティーに宣伝させていただいております。あと、レシピエントからリクエストがあった「特定の物品」に関しては、JCCCの新移住者コミッティー(NJCC)の運営するファミリー・トーク・フォーラム(FTF)というGTAに住む日系のお母さんのメーリングリストを通じて寄付を募っています。
宣伝は日本語だけで行うのですか?
「一般的な情報」は日英両言語で、チラシを作りコミュニティーに配信しています。レシピエントからの「特定の物品」のリクエストに関しては、FTFの登録者が基本的に日本語の方々なので、日本語のみになりますね。今年度からは、コミュニティーの英語で話す方々にも「特定の物品」のリクエストを配信できるソースを探してみようと思います。
レシピエントの方々は日本語を話す人のみですか?
いえいえ、確かに日本語が第一言語である方が多いですが、カナダ生まれの日系2世、3世で英語のみを話すレシピエントの方もおります。先ほども、少し触れましたが、ホリデードライブのレシピエントは、JSSのクライアントまたはメンバーに限りません。JSSは日系コミュニティーにサービスを提供する機関なので、広い意味で日系コミュニティーのメンバーであって、経済的に苦しい状況にいる、または孤立化しているなどのニーズがあれば英語のみを話す方もサービスを利用していただけます。なので、もし周りにこのプログラムが有意義なサポートになるような方でギフトの受け取りを希望される方がいらっしゃれば、11月くらいにJSSまでご連絡ください。しかしながら、その際にきちんとレシピエント候補の方にこのプログラムの趣旨をご説明いただき、ギフトの受領に興味があることをご確認の上、ご連絡いただければ幸甚です。もちろん、すべてのコミュニケーションは守秘義務のもとに扱われます。
ホリデードライブについての詳しい説明ありがとうございました。毎年、レシピエントからのたくさんの喜びの声が寄せられるそうですね。その裏には、JSSのボランティア、理事及びスタッフの方たちのたくさんの時間と労力があるんですよね。今年のホリデードライブも大成功することを祈ってます。
そうですね、理事を含めたボランティアの方々からのサポート無しでは、このプログラムを動かすことができませんし、様々な形でこのプログラムにご協力いただいている日系コミュニティーの諸機関および個人の方々からの温かい多大なるご支援なしにはホリデードライブは成り立ちません。この場を借りて、心よりの感謝の気持ちをお伝えさせていただきますとともに、今年度以降も温かいご支援をよろしくお願いいたします。
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