会長の挨拶
高齢者問題と商工会・伊藤ファミリーからの多額のご寄付
デービッド・池田
近年、認知症とアルツハイマーに関するケースが増加しているとの報告がカウンセラーからあげられております。日系コミュニティの高齢化にともない、高齢者に関するケースの増加が今後予測されます。
しかしながら、JSSは小さな団体です。スタッフたちは認知症の対応を心得ておりますが、こういったケースへの対応は非常に時間がかかります。私の個人的な経験から申しますと、認知症のケアの難しさは、認知症の方が徐々に記憶を失っていくことではありません。病気が進行するにつれて悪化する強い被害妄想と不信感です。極端に怒りっぽくなる、暴力を振るうなどの症状は珍しくありません。
まず心得ておいて頂きたいのは、認知症の方々は気が狂っているわけでも、後ろ指を指されるべき人でもありません。認知症の方々は他の誰もと同じように権利があり、尊敬され大事にされるべき人たちです。例え彼らの現実が急速に消えていく途中だとしてもです。そのためJSSスタッフは、時間をかけて彼らの話に耳を傾け続けています。時には相談者が何度も同じ質問をしたり、同じ会話を繰り返したりすることもあります。
JSSはプロフェッショナルなカウンセリング・サービスを提供しており、年を追うごとに日本語を話す相手が減り、カナダ社会の中で孤立を深めつつある多くの日本語を話す高齢者の方々にとって、最後の砦となっているのです。
認知症への対応は非常に時間がかかります。しかし、先に述べましたようにJSSではこういった方々へのご支援をするのはもちろん、その他にも大勢の悩みを抱える方々の後ろ立てとなるために終始活動を続けている事をご理解お願いいたします。
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次にファンドレイジング活動についてご報告いたします。JSSは10月18日、JSSにとって2番目に大きなイベントであるスコシアバンク・ウォーターフロント・マラソンおよびハーフマラソンにおいてファンドレイジングをいたしました。
我々の先頭に立ってスポンサーと寄付金集めをされたJSSファンドレイジング委員長の山本順子理事、ポスターや宣伝広告をデザインされたアンソニー・リリーフェルト理事に感謝したいと思います。JSSカウンセラーの公家孝典氏と三船純子氏、コミュニティー・アウトリーチ・スタッフの高野千恵リーブス氏、そして私自身もレースに参加いたしました。レイモンド・バラル氏と私の父、シド・池田も5kmを歩ききりました。レイモンド氏が父の携帯から私に電話をかけ、JSSのためにレースに参加しファンドレイジングをしたいとおっしゃった時の感激は言葉につくせません。さらに彼はレース後、トロント仏教会にて信者のみなさんに向けて講演をして下さいました。ファンドレイジングと寄付を同時にしてくださったのは、日系コミュニティの中でもレイモンド氏お一人だけです。
もし皆さまがマラソンでの寄付の機会を逃されたようでしたら、ぜひ寄付をお願い致します。昨年JSSは順子氏の目標額の2倍である6, 000ドルを越える寄付を集める事ができました。彼女の今年の目標は、昨年を越える寄付を集める事であり、私としてもぜひサポートしたいと考えております。
最後になりましたが、JSSの事情をご理解頂き、多額のご寄付をいただきました2団体にこの場でお礼を述べさせて頂きます。
ミッツ・伊藤氏と彼のご子息たちからサルデン&ハイランド財団を通じ22,000ドルという多額の寄付金を、またトーク須山氏からは6月に行われたトロント・チャレンジへの個人献金という形でご寄付をいただきました。
もう1つの団体はトロント日本商工会です。7月28日に商工会から山本順子氏とカウンセラーの公家孝典氏に対し、9, 450ドルの寄付をいただきました。これは前年度商工会からいただいた寄付のほぼ倍額にあたります。このような寄金の増額が毎年期待できるわけではないことは十分承知しております。しかし、伊藤ファミリーと商工会からのご支援、また小さな日系コミュニティの多くの方々からの寄金が、我々の活動を続けていく強い原動力になっているのです。スタッフ、理事、ボランティア、サービス利用者の方々を代表しまして、心からお礼を述べさせて頂きます。